クローズアップ・小平興業/現場納め、いざ"ふるさと"へ | 建設通信新聞Digital

1月12日 月曜日

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クローズアップ・小平興業/現場納め、いざ“ふるさと”へ

器用な動きでコーンバーを設置
笑顔で表彰台に立つ入賞者
和気あいあいと話す参加者ら
【年に1度集まり県外の仲間と成長披露】

 2025年。多くの現場は年内の仕事を12月26日で納め、長期休暇に入った。翌日の土曜日、栃木県で重機土工を営む小平興業(宇都宮市、石黒靖規社長)などが主催する「U-29技能オリンピック」が開かれた。県外に散らばった社員や協力会社のメンバーが本社を構える“ふるさと”に集結。「久しぶり」と白い歯をのぞかせながら、日頃鍛えた腕前を競い合った。
 栃木県壬生町。会場となる地域の運送会社の敷地には、ショベルカーや高所作業車が並んでいた。人が集まり始めたのは、手がかじかむ午前7時台。参加者の柔らかな表情には、無事に仕事を納めた安堵(あんど)感が漂っていた。北西には、日光の名山、男体山が朝日を浴び、関東平野を見下ろすようにそびえていた。
 小平興業が大会を始めたのは24年末から。恒例の餅つき大会をやめ、代わりに始めたのがこの競技大会だ。
 「きっかけは若手社員からの提案だった」と話すのは、根本正美執行役員。「若手が技術を競い合う大会があれば」との声を受けて始まった。
 同社の仕事は今、8割ほどが県外でのゼネコン下の請負仕事で、遠方で働く社員も多い。「年に1度集まり、『これくらいできるようになったよ』と披露する場になっている。若い人がやりがいをもって働ける環境をつくろう」とスタートした。今回からは、レンタルや建機販売店、地元警察や地域のスポーツチームも巻き込み、地元全体でつくる実行委員会方式で運営している。
 重機からエンジンの音が鳴り、ショベルを使ったタイムレースがスタートした。競技は、バケットの刃先でボールをすくったりと、器用な“アームさばき”が求められる3競技。合計タイムで競い合った。
 参加したのは、運転歴1カ月のビギナーから10年選手までの総勢13人。レベルの違いは、時間を加算するハンディキャップ制で補い、バランスを取る。たまに、刃先からぽろりとボールが落ちるが、それもご愛嬌(あいきょう)。「がんばれー」と温かい声援が飛ぶ。
 ギャラリーには、家族、友人、地域の人々が多数訪れた。20歳の息子の雄姿に「家族に見せる顔と仕事の表情は違った。成長を感じた」と話す母親。「同じ現場の同僚を見に来た」と話す地元の友達。孫の姿に「私じゃとても運転できないわ」と目を細める祖母の姿も。日が高くなる頃には、地元住民も続々と集まり始めた。
 現場仕事が多い建設業。持ち場が違えば、同じ会社でも、会う機会は限られる。貴重な機会を生かし、技を競い、交流する。そんなイベントは今、会社の枠を超えた地域交流の場へと広がりつつある。