新理事長に聞く・港湾空港総合技術センター 松原裕氏 | 建設通信新聞Digital

1月16日 金曜日

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新理事長に聞く・港湾空港総合技術センター 松原裕氏

【若い担い手の確保に意欲】
 港湾空港総合技術センター(SCOPE)の新理事長に2025年12月1日付で松原裕氏が就任した。SCOPEは港湾・空港施設などの建設・維持管理事業に関する技術やシステムの開発、調査研究に取り組んでおり、建設業の喫緊の課題である担い手確保、今後進展が期待される洋上風力発電事業への支援にも意欲を示す。業界全体のさらなる発展を目指す松原氏に今後の抱負を聞いた。--港湾・空港関連の建設産業の現状は
 「国土交通省に勤務していた時は、技術と経営に優れた建設企業がしっかり仕事ができるよう入札契約制度や資格制度の改正に取り組んできたが、そうした取り組みはある程度根付いていると思う。これからは、各企業、組織で熟練技術者の退職が加速していく。そのため、担い手確保対策、BIM/CIMやi-Constructionなどの技術革新による生産効率の向上を進めていく必要がある」
--担い手確保にはどう取り組むか
 「まず当センターの採用について、現状は高齢化が進み若い世代が少ない年齢構成となっているため、24年度から新卒者採用を始めた。若い人が夢と希望を持って働ける組織を目指す。彼らは採用後、キャリアをステップアップしていけるかに関心が高いことから、取得できる資格などを明確に示すようにしている」
 「大学や高等専門学校と連携し、全国の各支部でインターンシップを実施しているが、単にSCOPEの採用活動だけにとどめるのではなく、港湾空港の役割や重要性をアピールする場としている。一般の人にとって普段目にする道路事業や都市政策と比べ、港湾・空港事業への関心が薄いように感じる。工事現場の視察とともに事務など業務全般を紹介するようにし、国交省の公務を含めて関心を持ってもらえるように取り組む」
 「インターンシップは、われわれが若い世代のことを学ぶ機会でもある。彼らがどのような将来を望んでいるのかを知った上で、われわれ自身も変えるべきところは変えていかなければならない」
--各地で本格化している洋上風力発電事業への支援は
 「工事を進める際に金融機関などから資金を調達するには、事業計画の実効性を証明する必要がある。SCOPEは、第三者機関としてその証明を行うマリンワランティサーベイヤー(MWS)業務に取り組んでいる。業務を通じて事業者と金融機関との橋渡し役を担っていきたい」
--港湾インフラの老朽化も課題となっている
 「国交省では、港湾管理者が保有する計画から整備、維持管理までの情報を電子化に一元管理するサイバーポートの構築に取り組み、国の港湾施設は一通り完了している。都道府県が保有する施設についても構築を進めていくが、SCOPEでも施設管理に向けたデータベースの開発などで協力していく」
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 (まつばら・ゆたか)1982年3月京大工学部交通土木工学科卒後、同年4月運輸省(現国土交通省)入省。2015年7月運輸安全委員会事務局長、17年7月国交省官房技術総括審議官、18年12月三菱重工業インフラ&インダストリー・ドメイン顧問、22年4月外務省在トリニダード・トバゴ日本国特命全権大使などを歴任。67歳。
【記者の目】
 国交省時代から「人の和」を大切にしてきた。「仕事でもプライベートでも一緒に心を通わせてつながりを深めることが大事だ」と強調する。前職でカリブ諸国9カ国の大使を務めた際は、言葉の問題もありコミュニケーションに苦労したが、持ち前の気さくな性格と明るい笑顔で無事に任務を果たした。今回、SCOPE理事長として港湾・空港の分野に帰ってきた。これまで育んだ「人の和」をさらに広げ、建設産業の課題解決に導く手腕に期待したい。