埼玉・八潮市道路陥没事故から1年/国民全体でインフラ守る機運を | 建設通信新聞Digital

1月28日 水曜日

行政

埼玉・八潮市道路陥没事故から1年/国民全体でインフラ守る機運を

発生直後の道路陥没事故
 埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故からきょうで1年を迎える。事故を契機に、下水道管路だけでなく道路や河川などインフラ全般で老朽化が加速していることが改めて浮き彫りとなった。地方自治体の財政悪化や担い手不足などの課題が山積する中、持続可能な形でインフラを管理・運営する体制づくりを国民全体で考えていく必要がある。 八潮市の道路陥没事故は、硫化水素で下水道管が腐食したことにより、2025年1月28日に発生。陥没穴に落下したトラック車両の運転手1人が死亡したほか、県が流域12市町の約120万人に対し洗濯・風呂の使用自粛を依頼するなど市民生活にも大きな影響を及ぼした。現在も、県が破損管や事故現場の上を走る県道松戸草加線の復旧工事を継続。破損管は3月までに管更生と埋め戻しを実施し、今秋ごろからは雨水管の復旧工事に着手する。県道は4月に暫定2車線での供用を開始する予定だ。破損管の復旧後は、別線の管路を整備し複線化を図る考えで、工期は5-7年を見込む。県の北田健夫下水道事業管理者は「このような事故が全国で二度と起きることがないよう、安全・安心な社会づくりに向け取り組んでいく」と語る。
 事故を受け、国土交通省は25年2月に有識者による検討委員会を設立し、地下管路の管理の在り方の見直しに着手した。12月に金子恭之国交相に手交した第3次提言では、ストック保全とコスト増のバランスを取るため、下水道管路の点検・調査は重要管路の頻度を増やすなどメリハリを意識した管理を求めた。委員長を務めた家田仁政策研究大学院大特別教授は「膨大なインフラを今までと同じように管理するのは非効率だ。インフラ全体を軽量化し重要部分をしっかりと守らなくてはならない」と力を込めた。
 また、点検時の判断基準や判断結果などを明確にし、管理者と一般市民双方への見える化を促進するよう要請した。インフラ全般でも施設管理のメリハリや見える化を徹底するとともに、過酷な環境に置かれる作業員を「エッセンシャルジョブ」として敬意を払い、就労環境や待遇を改善するよう求めた。
 提言を受け取った金子国交相は「法令を含む諸制度の見直し、検討を加速するとともに、必要な予算をしっかりと確保していく」と応じた。第1次国土強靱化実施中期計画には、緊急的な対処を要する老朽化箇所の早期解消とともに予防保全型メンテナンスへ転換することを反映させた。インフラマネジメントや新技術導入については、社会資本整備審議会と交通政策審議会技術分科会技術部会の下に設置した小委員会の初会合を30日に開く。技術的見地から方向性を定める。
 対処が必要となる建設後50年以上のインフラ施設の割合は、今後20年で加速度的に増加する。それに対し維持管理を担う地方自治体の財政状況は厳しく、技術系職員も減少。今の体制を維持すること自体が困難な状況となっている。行政や事業者だけでなく一般市民を含め、一人ひとりがこの課題に向き合い、インフラを守っていく機運をつくり上げることが必要不可欠だ。