【設備設計者の不足深刻/賃金増、カムバック・紹介採用導入も】
日刊建設通信新聞社が建築設計事務所21社に実施した人材採用調査によると、半数を超える企業が4月の新卒採用予定者を前年より増やし、14社が「予定どおり確保できた」と回答した。残る7社は「予定枠の確保に苦労した」「最終的に予定枠を確保できなかった」と答え、その要因として「内定辞退者が出た」ことを挙げる企業が少なくなかった。このほか調査結果では、予定通り人員を確保できた企業を含め、ほぼ全社が「設備設計分野」の人手不足を感じているとともに、採用を強化したい意向を示している。
新卒を「予定どおり確保できた」企業では、学生との接点を増やしたり、自社情報の発信を強化したりと、積極的な採用活動に取り組む事例が数多い。例えば東畑建築事務所はインターンシップやウェブセミナーを拡充したことで、「新卒採用の応募者数増加につながっている」と言い、内定後の辞退者も想定より少なかった。
東京に本社を置く日総建は「中部エリアでのプロポーザル特定や竣工案件が増加したことで知名度が上がり、中部・関西圏の応募が多くなった。地元で働きたい意向に応えられた」とし、認知度向上の効果が表れた。内定辞退の防止に向けては、内々定者に自社実績建築を案内し、懇親会を実施したという。
自社サイトやSNS(交流サイト)での情報発信に力を入れている企業も少なくない。最終的に予定枠を確保できなかった企業の中にも、SNSなどによる広報活動の強化に取り組み始めた例もあり、この企業は「今後、効果に期待したい」とコメントしている。
中長期の新卒・中途採用計画を見ると、「採用者を減らす予定」と回答した企業はゼロで、新卒採用では16社が「現状維持」、5社が「採用者を増やす予定」と答えた。中途採用では、14社が「現状維持」、7社が「増やす予定」とした。
人材不足を感じている分野では、ほぼ全社が「設備設計」を挙げ、19社が採用を強化したい考えを示している。強化したい要因として、「設備を主体とした改修業務やZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)をじめとした環境配慮へのニーズ増加への対応」などの声が上がる。
こうした中、「近年改修設計が増加しているが、ZEBやカーボンニュートラルなど、設備に関する改修が多く、設備設計事務所単独で業務が取れるほどの状況だ。設備外注は単価高騰と業務過多のため委託が困難」と切実な状況を明かす企業もいる。
このほかの分野では、AI(人工知能)技術人材の採用強化を考えている企業が7社あった。既に17社が業務にAIを使用し、2社が使用を検討していることからも、AI人材の重要性が高まっている様子がうかがえる。
少子高齢化に伴う人手不足が社会的に深刻化する中、人材確保に向け、20社が26年度の賃金引き上げ(初任給、基本給、賞与など)を「実施する」または「検討している」ほか、15社が「カムバック採用」、13社が「リファラル(紹介)採用」を導入しているなど、各社さまざま工夫を凝らしている。
