【高水準維持も早期化の負担大/2年で1000人増/ゼネコン】
建設産業の採用増加の勢いが一段と強まっている。時間外労働の上限規制への対応や中長期的な技術承継を見据え、各社とも高水準の採用計画を維持している。一方で、学生優位の売り手市場の状況は変わらず、初任給の引き上げを含む待遇改善競争も激化。採用コストの上昇に加え、早期化による負担感も増している。全6回でゼネコン、建築設計事務所、建設コンサルタント、道路舗装会社、設備会社、メーカーの主要企業の2026年4月入社の採用状況や人事戦略を連載する。
日刊建設通信新聞社が大手・準大手ゼネコン31社を対象に実施した人材採用調査によると、26年4月の新卒採用者数は全体の合計で前年の実績と比べて10.4%増の4946人となった。約8割に相当する24社が採用者数を伸ばした。全体で3000人程度だった15年から約4000人となった24年までの10年間で約1000人増加してきたのに対して、その後2年間で一気に1000人増加した格好だ。人材に対するニーズの高まりと注力してきた採用活動の成果が鮮明に表れている。
新卒採用人数が最多となったのは493人の大成建設で、前年から48人増やした。同社と清水建設、鹿島が400人を上回り、3社ともに計画どおり確保できたとしている。全体で見ても、過半数の18社が計画どおりに確保できたと回答。計画には未達であったものの一定程度確保できたとした企業を合わせると9割に上った。
計画を達成した企業に聞くと、採用イベントやインターンシップを通じた学生との接点の拡大やリクルーターによるフォローといった積極的な対応が奏功していることが分かる。SNS(交流サイト)の活用やブランディングの強化にも力を入れている。一方、技術系や専門性の高い職種では年々、他社との競合が激化していると指摘された。
今後の新卒採用者数は11社が増やす予定、18社が現状維持、2社が減らす予定とした。採用数を伸ばしてきた企業が多く、この水準を保ちたい考えだ。中途採用者数は15社が増やす予定、16社が現状維持で、不足感のある中堅人材への需要が続いている。
初任給の引き上げやベアといった処遇改善の動きも続いている。25年度はほぼ全ての企業が何らかの賃上げ策を講じており、26年度も12社が既に実施を決定済みで、残る19社も検討中だと回答した。
採用活動の早期化については全社で「早まっている」との課題認識で一致した。学生が自身の適性や企業・職種に対する理解を十分に経ていない段階で採用活動に突入するため、ミスマッチを懸念する意見が多く、「学業に専念する時間を確保できないのでは」といった声もあった。内定後のフォローアップの期間も長期化しており、負担感が強まっている。
離職率(3年)については数%台から3割程度まで企業によってばらつきが見られた。ただ、具体的な対策の必要性については意見が共通しており、入社時のミスマッチ防止やキャリア教育、メンタルヘルスケア対策などに着手している企業が見られた。
