【思いが入った仕事を】
大日本ダイヤコンサルタントの社長に齋藤哲郎氏が就任した。DNホールディングスの事業会社として、建設コンサルタントや地質調査など各事業を束ねる。公共事業の業務量が減る中、「みんなで新しいことを考え挑戦したい」と語り、拡大する保全分野や民間市場の開拓にも力を注ぐ。AI(人工知能)の活用を掲げる一方で「人の思いが入った仕事を大切にしたい」とも語る齋藤社長に、今後の組織運営について聞いた。
--就任の抱負は
「建設コンサルタントの業務領域は広がり、その一方で公共事業の発注量は減っている。従来の受注にもしっかり対応していくが、変化する環境に適応していくためにも、新しいことを考え、挑戦する取り組みを進めたい」
--業務の今後の取り組みは
「利益をより出しやすい詳細設計の量が減り、耐震補強や修繕といった保全関係の業務が増えている。これまでは詳細設計が業績をけん引してきたが、市場が変わり始めた以上、意識を変えて取り組み、小規模な業務であっても利益が出るように工夫する」
「業務の効率化につながるDX(デジタルトランスフォーメーション)にも取り組んでいる。人材育成から始めており、AIなどを活用した省力化、構造分野で言えば照査などでの活用を目指している。DX戦略推進部などと連携して展開のスピードを早めていきたい」
--民間市場への展開は
「日本の臨海部には工場が数多くあり、桟橋や護岸、それらをつなぐ橋梁など、さまざまな施設を抱えている。民間企業も長寿命化に取り組まないと立ちゆかなくなる。効率よく費用をかけて修繕していくノウハウを強みに、民間企業にもアプローチしていく」
「データセンター(DC)の建設などで今後も社会的な電力需要は高まり続ける。DC関係では造成設計のニーズがあり、地すべりや活断層といった地質リスクの調査から造成設計まで一貫して担える点は強みだ。このほか、地方自治体のインフラ維持管理でも、官民連携の広がりなどに合わせて積極的に貢献したい」
「稼働してから時間がたった陸上風力発電所の改修に伴って、工事用道路の整備や地盤調査なども引き合いがある。得意とする地盤・地質調査のほかにも火山噴火時の火山灰のシミュレーションなど、防災につながる調査も手掛けており、原子力発電所をはじめ、実績をしっかり受注につなげたい」
--人材や働き方について
「社員が受け身ではなく能動的に働けるよう、給与面などの満足度に加えてエンゲージメントを高めることが重要だ。全社的な方針を各支社が受け止め、共感とともに行動につなげられる組織にしたい」
「効率化は重要だが、技術者には納得いくまで探求し、自分で解析して説明したいという思いもある。全てを効率一辺倒にせず、技術者が仕事で力を注げるようにすることも重視する。人の手による仕事には、担当者の思いが入る。現場や顧客との対話から最善を導く、人中心の技術はこれからも大切にしていく」
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(さいとう・てつお)1985年3月武蔵工大大学院工学研究科土木工学専攻修了後、同年4月大日本コンサルタント(現大日本ダイヤコンサルタント)入社。2013年7月執行役員技術統括部構造保全事業副統括、16年9月常務執行役員技術統括部長、23年7月取締役兼専務執行役員技術本部長、25年9月代表取締役副社長を経て、26年3月から現職。福島県出身、65歳。
◆記者の目
穏やかな口調で現場と人を語る。効率化の大切さを語りつつ、答えに至る過程も重視し、技術者としての仕事のやりがいにも心を砕く。出身地にある二本松城の石碑・戒石銘を引き合いに、適切な投資や働きに対する還元など、トップに立つ者が守るべき真義を心に刻み、変革期にある建設コンサルタント業界でさらなる成長をけん引する。
