【時代に合わせ新たな挑戦】
NEXCO東日本の新社長に、6月25日付で吉岡幹夫氏が就任した。「将来の見通しが難しくなる中で、変わらないものを大事にしつつ、時代に合わせた新しいものを取り入れていく」ことで、高速道路の変革に取り組む。「現場と経営が同じ方向を向いて結束し、社員一人ひとりが力を発揮できる風通しの良い組織をつくることが私の使命」と語る吉岡社長に今後のかじ取りを聞いた。
--経営方針は
「2026年度から新たな中期経営計画が始まった。三つの基本方針の下、管理、建設事業をはじめ、技術、環境、サービスエリア、新事業など多岐にわたる業務を実施する」
「ネットワーク整備は地域に配慮しつつ慎重に進める。一方、地域活性化の観点から高速ネットワークを強化するため、必要な新規路線、四車化事業、スマートインターチェンジの整備などを進める。国がWISENET(ワイズネット)2050を掲げる中、首都圏や地域が抱える課題解決に寄与していく。未利用区間についての検討や財源確保に向けた調査や検討にも取り組む」
--次世代の高速道路に向けて
「新技術を実装・実証するための貴重な空間である高速道路を提供し、積極的に活用していく役割がある。現在、東北道では国が取り組む『自動運転トラック等の実証実験』と、当社独自の多機能ポールによる『次世代高速道路の実証実験』を実施する。27年度以降は君津PA付近の本線で走行中給電の実験を始める。こうしたエネルギーや運転技術の進化につながるさまざまな取り組みにも挑戦していく。従来の『人が運転する』という常識を変えることが、私たちが目指す新しい高速道路の進化の形だ」
--SA・PA事業の展望は
「SA・PA事業は、当社の収益を支える重要な基幹事業である。地域経営計画に基づき、地元とのタイアップによる地域の魅力発信や、無人決済の導入による利便性の向上を推進する。さらに、大型車ドライバーの就労環境改善に向け、駐車場や休憩施設等の整備にも注力する。SA・PAを単なる休憩所ではなく、地域と連携して持続的な価値を創出する『地域拠点』へと進化させていきたい」
--建設業の働き方改革について
「施工管理の効率化・省力化、工事書類の軽減などの取り組みを盛り込んだ工事円滑化ガイドラインを定めている。熱中症対策を考慮した作業環境の徹底と、猛暑期間を見据えた適切な工期設定も進める。従来の発注者・受注者という枠組みを超え、密なコミュニケーションを通じて現場の作業環境を共に改善していく」
(よしおか・みきお)1986年3月東大工学部都市工学科卒後、同年4月建設省(現国土交通省)入省。道路局高速道路課長、北陸地方整備局長、道路局長、技監、国土交通事務次官、国交省顧問を経て、6月から現職。趣味はウオーキングと城巡り。神奈川県出身。63年7月14日生まれ、62歳。
◆記者の目
道路行政に長く携わり、同社社員の建設やメンテナンスにかける熱い思いを体感してきただけに、「NEXCO東日本の社長として仕事ができることを大変うれしく思う」と言葉に力を込める。社員には、「高速道路の社会的な価値を認識した上で、自分の仕事は社会の役に立っている、世の中が必要とするものという誇りと自信を持ってほしい」とメッセージを送る。老朽化や資材高騰など課題は山積するが、新技術への空間開放や、SA・PAの「地域拠点」への再定義など、現場を重視して課題に挑む姿勢からは強いリーダーシップがうかがえる。
