【「現場力」高めさらに成長】
きんでんの新社長に、6月24日付で吉増憲二氏が就いた。好調な業績を背景に、上坂隆勇前社長(現代表取締役副会長)が築いた「人中心」の経営路線を継承しつつ、同社の原点である「必ずやり遂げる精神」と「現場力」を重視した経営を追い求める。総合設備エンジニアリング企業としてさらなる成長を期す吉増新社長に、抱負や当面の方針などについて聞いた。
--抱負を
「良好な建設市場の中で会社が大きく前向きに変化、進化していく流れを決して一時的なものにせず、さらに前進させていかなくてはならない。変化のスピードが速い分、求められる課題もより大きなものになっている。事業基盤のさらなる充実を押し進め、より強靱な会社としてプレゼンスを高めていきたい」
--経営方針は
「社員皆が心身ともに健康で、温かく思いやりのある心と互いに助け合う心を持ち、自らの仕事を平常心で責任を持ってやり遂げる。社員全員がそのような気持ちで仕事に取り組み、持てる力を最大限に発揮できる人と心を大切にした経営を目指す。私自身ずっと一般工事部門を歩んできたこともあり、事業の原点である現場を大切にしたい。その現場をやりきる力、『現場力』を会社とグループ全体で醸成していく」
--経営環境は
「旺盛な建設需要を背景に、2025年度は過去最高の実績を確保することができた。建設投資は当面堅調に推移していくとみている。データセンター(DC)をはじめ半導体関連なども非常に活況で、当社も多くの仕事を受注している。1990年代からDCに取り組んできた実績と豊富なノウハウがあるため、全国規模での連携した施工体制の構築が可能だ。優位性を生かし対応していく」
--M&A(企業の合併・買収)の考え方は
「昨年度の北弘電社、そして今年度に入り弘電社のTOB(株式公開買い付け)が進み、グループ内の事業基盤の強化を進めている。人を中心とした施工力や技術力、営業力といった強い事業基盤が何より重要だ。その観点から必要な投資を検討していく」
--GX(グリーントランスフォーメーション)への対応は
「GXはカーボンニュートラル社会の実現に向けてしっかりと対応し、取り組むべき課題と認識している。蓄電所の分野では関西電力と共に『カン-denchiファンド』の運用を始めた。洋上風力発電をはじめとする再生可能エネルギー関連でも、今後の動向や採算性を踏まえ検討を進める」
--次期中期経営計画の方向性は
「現中計で目標としていた『連結7000億円規模の経営』を、2年前倒しで達成することができた。次のステップを目指す前にまずは現計画をしっかりやり切る。今後さらに大きく飛躍するためにも大切にしたい視点を継続しながら、事業基盤を強めたい。現状に甘んじることなく、さらに進化していく、成長させるという強い意志を持ち、社会から求められる会社であるという誇りを胸に持続、成長、発展に向けた歩みを進めていく」
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(よします・けんじ)1988年3月近畿大理工学部卒後、同年4月近畿電気工事(現きんでん)入社。2023年6月常務執行役員技術本部副本部長、24年6月取締役兼常務執行役員技術本部長、25年6月経営執行役員常務技術本部長。趣味はゴルフ。モットーは「和を以て貴しとなす」。和歌山県出身。62年5月3日生まれ、64歳。
◆記者の目
自身の持ち前を「辛抱強い、しぶとい」と語る。入社研修を終えて最初に配属されたのが、同社では「異例」という石油プラントの現場だった。人手も少なく、作業員に交じって昼夜問わず仕事に没頭した。「一つ間違えれば事故につながりかねない環境で、やることなすこと注意されながら仕事を覚えた」と若手時代を振り返る。一般工事の現場で長く「目の前のことを精いっぱいやってきた」自負があるからこそ、生産性向上と現場を支える人材の大切さを誰より強く認識している。
