2026年熊本地震で被災した国道219号新萩原橋(熊本県八代市)の応急復旧工事が26日までに完了し、あす27日に通行を再開する見通しとなった。7日の着工から約3週間。早期開通を実現した背景には、プレストレスト・コンクリート建設業協会(PC建協)と日本橋梁建設協会(橋建協)の連携があった。
熊本県が管理する新萩原橋は、橋長657.3m、幅11mの3径間連続鋼箱桁橋3連+単純鋼箱桁橋で、1974年に完成した。地震で落橋防止装置などの機能が低下しており、緊急輸送道路としての機能を発揮し渋滞を緩和するためにも、早期開通が求められていた。
今回の工事では▽損傷したコンクリートの撤去と路面段差の解消▽新設したコンクリート台座とH鋼のサンドルによる橋の横移動防止▽橋の底面下へのH鋼設置による落橋した場合の段差防止--の三つの対策を進めた。
当初設計では、下部構造に後打ちアンカーを施工してH鋼を固定する計画だった。しかし、現場ごとにアンカーやボルト穴の位置が異なるため、H鋼を現地計測して工場で特注製作する必要性が生じ、目標工期に間に合わないことが懸念されていた。
これを解決したのが、県がPC建協を通じて応急復旧の依頼を受けた日本ピーエスの技術者らの構造上の工夫だ。現場の指揮を執る同社九州支店技術グループの中井太樹主幹は「1段目をH鋼から新設のコンクリート台座に変更し、ボルトを正確な位置に埋め込むことで、特注品ではなく既製品のサンドルの使用を可能にした」と説明する。
さらに、橋建協を通じて、鋼橋の施工に精通する三井住友建設鉄構エンジニアリングに県が協力を要請。上部のH鋼工事を同社が、コンクリート台座を日本ピーエスが担当する役割分担を整えた。
県らは6日に打ち合わせを行い、翌日に着工した。お盆や土日も休まず作業に徹した。23日時点でコンクリート工事は全て完了し、全体の進捗(しんちょく)も9割程度終わった。異なる専門分野の技術者がそれぞれの強みを持ち寄り、設計変更から施工、資材調達までを短期間で進めたことが、異例のスピードでの復旧につながった。
県道路整備課によると、今回の工事はあくまで通行再開を優先した応急復旧で、本復旧の具体的な内容や時期は未定としている。今後、被害調査や国の災害査定を踏まえ、正式な本復旧計画を策定する。
