デジタル技術の利活用や遠隔施工の進展を背景に、建設業とゲーム業界の接点が広がっている。鹿島、日特建設、アジア航測の3社が、千葉市の幕張メッセで17日から開幕した「東京ゲームショウ2026」に出展している。建設分野で培った技術を生かした製品やデータをゲーム市場にも広げる一方、ゲーム業界が蓄積してきた操作性や表現手法といったノウハウを取り込もうという狙いも見られた。
日特建設のブースでは、のり面吹き付け作業を省力化する「スロープセイバー」の遠隔操作システムを展示した。家庭用ゲーム機のコントローラーを使い、会場から約60㎞離れた茨城県内の実機を操作。画面には施工面と重機アームの距離、角度を直感的に把握できる表示を設けた。会場では実際のモルタルの吹き付けはできないが、重機アームとのり面との適正な距離や角度を維持すると得点が増える仕組みで、ゲーム感覚で重機を扱える。将来の遠隔施工の実現に向けて、一般来場者やゲーム開発者などに操作画面の構成や操作性を高めるためのフィードバックを得ることが狙いの一つだ。
遠隔操作の体験コーナーは自宅の室内のようなリラックスできるデザインで、現場経験のない人にも建設業への入り口が広がる将来像を意識した。実際に遠隔操作した来場者は「思ったより簡単に操作できた。大型の重機が遠くで動くのは不思議な感覚だ」と話していた。
アジア航測は、測量で取得した地形の点群データを変換したゲーム制作向け3Dモデルを紹介。実在する地形データの活用に関する相談はこれまでにも寄せられていたという。同社新規事業創造本部の高橋菜都美氏は、「高精度な点群はデータ容量などに課題がある。クリエーターの声を通して『こんな地形がほしい』といったニーズや、より使いやすいデータの形などを探りたい」と話した。
鹿島は、建築音響の研究成果を生かした立体音響技術「OPSODIS(オプソーディス)」を搭載するスピーカーを出展。ブースでは、スクウェア・エニックスやカプコンなどの協力を得て実際のゲームを来場者に操作してもらいつつ、音響を体感してもらった。同社立体音響プロジェクトチームの渡邊明彦営業統括部長は「巨大なゲーム市場での認知を広げつつ、ゲーム開発会社や周辺機器メーカーとの協業を探りたい」と話していた。
