井林辰憲国土交通相と建設業主要4団体は28日、東京・霞が関の同省で意見交換会を開き、技能者の賃上げと生産性向上に引き続き官民一体で取り組むことを確認した。建設業界全体に十分な施工余力があることも確認。団体側からはこれまで補正予算で計上していた経費を当初予算化する2027年度予算の編成を巡り必要予算の確保や発注の平準化を求める声が上がり、井林国交相も「しっかり対応する」と応じた。
国交省からは井林国交相や塩見英之事務次官、廣瀬昌由技監ら幹部、団体からは日本建設業連合会の蓮輪賢治副会長、全国建設業協会の今井雅則会長、全国中小建設業協会の河崎茂会長、建設産業専門団体連合会の岩田正吾会長らが出席した。
井林国交相は開会に当たり、「国土強靱化をはじめとする危機管理投資と成長投資を強力に進めるためには、投資を支える建設業の役割が極めて重要であり、担い手確保と生産性向上を推進することが不可欠だ」と強調。その上で27年度予算の概算要求に言及し、「労務費確保の必要性や今後の資材高騰も踏まえ、必要かつ十分な公共事業予算の確保に努める」とした=写真。
また、「足元の予算執行状況を見れば、十分な施工能力はある」と述べ、公共投資の拡大が民間投資を抑制するとされる「クラウディングアウト」論をけん制した。
意見交換会の議題は、▽27年度概算要求▽賃上げ▽生産性向上--の3点。3月に国交省と4団体が申し合わせた「おおむね6%」とする26年の技能者の賃上げ目標や、生産性向上の取り組み状況を確認した。
日建連の蓮輪副会長は物価上昇により公共事業の実質事業量は目減りしているとし、新たな投資枠も活用した予算確保を要望。技能者の過不足率や入札不調発生率は落ち着いていると指摘し、「十分な施工体制を確保できている」と説明した。また、「年間を通じて工事が継続することで協力会社の経営安定化や技能者の処遇改善、週休2日の確保につながる」とし、発注時期の平準化に配慮を求めた。
全建の今井会長は、公共工事の発注量の減少に伴い会員企業の受注量や利益は悪化傾向にあるとする会員調査の結果を取り上げ、「地域では仕事が不足しており、施工余力はある」と述べた。その上で、25年度当初予算と26年度補正予算の合計額に物価上昇分を加えた公共事業予算の確保を要望。当初予算化に伴う発注時期の平準化について、地方自治体発注工事も念頭に置いた対策を求めた。
全中建の河崎会長は「発注時期を適切にしてもらえれば施工余力は十分に確保できる」と言及。「予算要求の方式が変われば、発注者もそれに則した方法を検討すべき」とし、特に自治体発注工事の平準化に向けて国の指導を要請した。
建専連の岩田会長は「請負契約の現場では安値で仕事を取る考えがまだ根強い」と指摘し、「労務費の基準の浸透は急務だが、繁閑対策として仕事量や労働力のアジャストも重要だ」と主張した。
最後に井林国交相は「国交省と団体側の問題認識にずれがないことを確認できた。行政と各団体一体で取り組んでいきたい」と総括。当初予算化に伴う発注の平準化についても「事業執行官庁としてしっかりと対応する」と力を込めた。
