飛島建設は、大断面の山岳トンネル工事用として過年度に開発した「Smart Lining System」を改良し、実物大のトンネル実験で、材料使用量の低減効果を確認した。同システムは、コンクリートの吹き付け仕上がり面の位置に専用型枠をセットし、地山との間にコンクリートを吹き込む技術。今回、新たにコンクリートの漏れ防止マットを開発したほか、支保工と接する位置に圧力計を4カ所配置し、定量的な圧力制御を実現した。
改良は、同社がエム・シー・エス(山梨県韮崎市、河西哲夫社長)、すばる建設(埼玉県三郷市、稲村隆浩社長)、岐阜工業(岐阜県瑞穂市、宗像国義代表取締役)、アキレス(東京都新宿区、日景一郎社長)、クラレプラスチックス(大阪市、柳井久道社長)と共同で行った。
従来のシステムは単心円のみに対応していたが、鋼製型枠に新たに開発した厚さ4cmの漏れ防止マットを設置することで、曲率の異なる3心円にも対応できるようにした。
また、オペレーターの操縦席からは接地面が斜めに見えるため、施工精度に課題があった。そこで圧力計を設置するとともに、オペレーターから見える位置に圧力制御の管理モニターを設置し、施工精度を高めた。
新方式の有効性を実証するため、大断面山岳トンネル工事(幅13.6m、3心円)の上半支保工施工を想定した実物大トンネルを製作し、試験施工を行った。
その結果、従来施工と比較して施工サイクルの短縮と、コンクリート使用量の55%低減を確認した。吹き込みコンクリートの仕上がり面は、専用型枠を設置して圧力制御管理を行った場合の方が、凹凸が小さく平坦性に優れていることなども確認した。
また、実物大トンネル試験の結果に基づき、新方式の適用試算も行った。天端部と根足部は従来方式で施工し、それ以外の範囲を新方式で施工する場合(ハイブリッド方式)を、全て従来方式で施工する場合と比較した。その結果、コンクリート使用量は約30%低減できる試算となった。
打継部の圧縮強度は施工上の特性による影響を受けるため、今後は打継部の処理や解析的な検討により、支保構造としての安全性を検証するなどして技術をブラッシュアップする。2027年度上期に、大断面の実施工現場への適用を目指す。
