【香川大ら】大学生対流「ものづくり職人育成塾」を開催 39人が職人の技のすごさを実感  | 建設通信新聞Digital

5月1日 水曜日

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【香川大ら】大学生対流「ものづくり職人育成塾」を開催 39人が職人の技のすごさを実感 

 香川大学は芝浦工業大学と連携し、8月7日から11日まで高松市塩江町の「職人育成塾」で、香川と東京圏の大学生対流促進事業「うまげな職人技を感じてみまいinしおのえ-ものづくり職人育成塾-」を開催した。技能や理念を習得し、育成について学んだほか、瀬戸内国際芸術祭や香川県庁など著名な建築家の建物に触れた。今年度は新たに津田塾大学とも連携、39人が参加した。
 香川大は2018年6月、内閣府から「地方と東京圏の大学生対流促進事業」の採択を受け、東京圏の大学とさまざまな連携事業を実施している。
 8日の入塾式で、筧善行香川大学長は「人口の減少する中で持続可能な社会の実現には一極集中から地方分散への転換が必要であり、この事業はそのきっかけになると考える。都会で味わえない生活を送り、さまざまな発見や交流があると思う」とプロジェクトの成功に期待感を示した。守田優芝浦工大副学長は「日本を支えてきた職人文化が継承されるか危惧(きぐ)している。ものづくりの一端に触れ、学び、将来に生かしてほしい」と要請した。また、岡村真史職人育成塾代表理事は「職人の目線を一端でも感じてもらいたい」と話した。
 学生たちは8グループに分かれ、天使の羽オブジェの作成とプランターの製作(塗装、タイル張り)に挑戦し、木工事や左官、タイルなどの基本を体験した。作成したプランターは高松市に寄贈。学生から小笠原勝範塩江地区コミュニティ協議会会長に贈呈した。
 今回の体験を通して学生からは、「初めて使う道具に戸惑った」「同じ道具を使っているのに早いし正確で、どこかで技を身に着けたい」「ビスの穴をパテで埋めるのも、何回もやり直したが、職人さんは1回で埋めていたのはすごい」「すべての作業を通して体の使い方を意識したが、精密にいかなかった。一朝一夕にはいかないことを実感した」「暑い中で集中力と体力を維持するのは大変だ」など、職人の技に感嘆する声が相次いだ。
 また、職人と一緒に作業したことで「直に接し、すごい人たちだと知ることができたので良かった」「機械系なので視野を広げる良い体験になった」「職人の仕事を深く考える機会になった」「職人によってどのようにつくられているかを考えてデザインを考えていきたい」「図面どおり、寸法どおりでもきれいに合わなかった。10分の1、100分の1の世界での調整が必要なことを実感した」「動画を見ることはあるが、実際にやって難しさを知る貴重な体験になった」「土に男と女があるのを初めて知った」など、職人の技のすごさを実感する良い機会になったようだ。
 さらに、「実際に話すことで、社会的役割や職人不足がどれだけ深刻な問題か分かった」と専門工事業界の抱える課題への理解も深まった。
 芝工大の蟹澤宏剛教授は「感じた職人技を絶やさないために、建築のプロとしてしっかり目利きになってもらいたい。参加した皆さんは1-3年生で、座学で学んでいるので、現場でどういうことが起こるのか考えながら、もう一度考え直す契機にしてほしい」と講評した。

作品を前に記念撮影

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