"宮本体制"3期目始動/50年見据えビジョン示す/実質事業量の確保に注力/日建連 | 建設通信新聞Digital

5月18日 日曜日

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“宮本体制”3期目始動/50年見据えビジョン示す/実質事業量の確保に注力/日建連

 日本建設業連合会は9日、東京都千代田区のホテルニューオータニ東京で、2025年度の定時総会と第2回理事会を開き、25・26年度の執行体制などを決めた=写真。宮本洋一会長、押味至一副会長・土木本部長、蓮輪賢治副会長・建築本部長ら首脳の続投を正式決定し、“宮本体制”の3期目がスタートした。11年4月の3団体合併による現日建連発足以降、同一体制で3期目に入るのは初めて。資材価格や労務費の上昇を踏まえた価格転嫁の推進と実質事業量の確保、時間外労働規制の順守徹底にも欠かせない働き方改革と生産性向上など、山積する課題に対し、強力かつ安定感に定評のある布陣で引き続き解決に挑む。 定時総会の開会に当たり宮本会長は、25年度に注力する八つの重点方針に言及し、第一に「新長期ビジョンの策定・公表」を挙げた。15年に策定した現長期ビジョンの後継として、「現在50年を見据え、新たなビジョンを策定中で、7月ごろには建設業に関わる幅広い関係者が共有できる新たな指針や具体的な方策を提示する」と表明した。
 次に触れたのは、先の建設業法改正などを契機とする全ての関係者におけるウィンウィンな請負関係の構築だ。宮本会長は「発注者、元請け企業、協力会社などそれぞれの関係者間でコミュニケーションを一層促進し、契約の適正化を図る」と述べるとともに、民間建設工事標準請負契約約款の早期改正を積極的に働き掛ける考えを示した。
 また、「度重なる地震をはじめ、頻発化・激甚化する風水害、さらには埼玉県八潮市で起きた道路陥没事故にみられるように、日本経済を支える屋台骨である既存インフラの老朽化が加速度的に進行している。自然災害から国民の生命と財産を守り、国家・社会の重要な機能を維持するためには、防災・減災、国土強靱化の取り組みをはじめとする社会資本整備の着実な推進が不可欠だ」と訴えた。
 一方、「ここ数年の労務費の上昇や資材価格の高騰などで、公共事業費は実質目減りしている」と指摘し、当初予算の増額を含めた公共事業関係予算の十分な確保に意欲を示した。
 2月に首相官邸で開いた政府と主要建設業団体との車座会議で合意した技能者賃金のおおむね6%上昇という目標にも言及し、「労務費見積り尊重宣言などを通じて協力会社と連携しながら、賃金が担い手まで行き渡るよう取り組みを強化する」と強調した。
 適用から1年が経過した時間外労働の上限規制については、「多くの関係者の理解と協力により、週休2日の実施や時間外労働の削減は着実に進んでいる」との認識を示した上で、「適正工期確保宣言の一層の推進や生産性向上を図り、全ての現場での4週8閉所の達成に向けてさらなる働き方改革を進める」と語った。
 このほか、建設現場のオートメーション化などDX(デジタルトランスフォーメーション)を中心とした生産性向上、戦略的な広報活動の充実による建設業の魅力発信、コンプライアンスと安全確保の徹底などを強力に推進するとし、新4K(給与・休暇・希望・かっこいい)の魅力あふれる業界を目指すと宣言した。