日建連・首脳会見/旧3Kの思い込み払拭/若者に業界の魅力付け | 建設通信新聞Digital

5月13日 火曜日

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日建連・首脳会見/旧3Kの思い込み払拭/若者に業界の魅力付け

 日本建設業連合会の宮本洋一会長ら首脳は9日、都内で開いた定時総会後に記者会見し、“宮本体制”3期目のスタートに当たる2025年度の抱負などを語った=写真。宮本会長は「週休2日を中心とした働き方改革をしっかりと進め、将来の担い手確保につなげなければならない。賃金の上昇もさることながら、働く環境をどう変えていくか。昔の旧3K(きつい・汚い・危険)時代の残業や休日出勤は当たり前、休みは雨の日というような考え方に根付いたアンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み)がまだ業界の中にはあると思う。それを払拭しながら環境を変え、若い人に対しての魅力付けを行う必要がある」と強調した。 宮本会長は会見冒頭、▽新長期ビジョンの策定・公表▽全ての関係者のウィンウィンな請負関係の構築▽防災・減災、国土強靱化、インフラ老朽化対策をはじめとした積極的な公共投資の推進▽適切な労務賃金の実現など技能労働者の処遇改善と4週8閉所の実現をはじめとした働き方改革の推進--という4点に特に注力する方針を示した。
 これまでの2期4年の活動を経て、「まだまだ課題は山積している。まずは現在検討されている標準労務費の設定や、民間建設工事標準請負契約約款の改正に関する取り組みをやり切りたい」と話した。
 押味至一副会長・土木本部長は「6月に策定される国土強靱化実施中期計画での事業量確保は特に大きなテーマだ。引き続き率先して業界の考えを訴えていく」と述べた。国土交通省各地方整備局との意見交換会をはじめとする公共発注機関との連携による迅速な課題解決も継続的な重点テーマで、この間集中的に行ってきた日建連とNEXCO各社との働き方改革に関する議論を例に、「鉄道会社や電力会社とも個別折衝して成果につなげていきたい」とした。公共工事設計労務単価のさらなる大幅な引き上げにも強い意欲を示した。
 蓮輪賢治副会長・建築本部長は「昨年を振り返ると、第3次担い手3法の改正や改正建設業の一部施行など、国交省のおかげで(業界を取り巻く環境の改善は)相当の進捗(しんちょく)をみたと思っている。ただ、例えばわれわれが展開する適正工期確保宣言の取り組みもまだ100%には至っておらず、民間工事は発注者や業態によって温度差があると感じている。発注者の立場も当然理解しながら、担い手確保に向けた働き方改革に業界を挙げて取り組んでいきたい」と話した。デジタル技術やロボットの導入拡大に向けた環境整備、50年カーボンニュートラル実現への貢献などにも注力する考えを示した。
 適用から1年が経過した時間外労働の上限規制について、宮本会長は「単純に時間だけで規制するのはいかがなものかという声があちこちで上がっている。このところの猛暑を踏まえ、夏は休みを増やし、その分、春や秋は日曜だけの休みにするといったアイデアも聞く。一律ではない多様な休みの取り方への対応も今後、監督官庁に働き掛けていきたい」と語った。