3社とも営業利益増/国内で一斉値上げ効果/セメント大手決算 | 建設通信新聞Digital

5月14日 水曜日

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3社とも営業利益増/国内で一斉値上げ効果/セメント大手決算

セメント大手3社の2025年3月期決算
 セメントメーカー大手3社の2025年3月期決算が13日までに出そろった。3社とも営業増益となり、26年3月期は、各社いずれも国内セメント事業で4月からのセメント一斉値上げの効果が出始めるとみられる。海外事業では、米国向けセメント輸出の有無・多寡で明暗が分かれた。
 太平洋セメントは、増収営業増益だった。セメント事業では、国内販売数量の減少を販売価格改善などで吸収。輸出数量は18.5%増となった。海外セメント事業も合わせた全体でも増収増益だった。
 26年3月期業績予想は、増収増益とした。セメント事業は増収増益で、国内は4月スタートの価格改善効果などで増収・営業増益を見込むが、海外は増収・営業減益の見通し。海外のうち、米国事業では、営業利益を対前年同期比2900万ドル減と見込んだ。関係者によると、この半分ほどが米トランプ政権の関税強化による影響だという。
 UBE三菱セメントは、減収・営業増益。事業別に見ると、国内事業はセメント販売数量が減少し、石炭や電力も販売が落ちた結果、売上高は前年同期比7.4%減となった。利益面では価格改定やエネルギー価格の低下により17.3%の営業増益だった。海外事業を見ると、米国でセメント・生コンクリート販売数量が減少したものの、価格改定と為替の影響で増収増益。石炭事業に取り組む豪州では、販売価格が下落して減収減益。海外全体では、売上高が前年同期比3.3%増、営業利益も8.1%増で、増収増益だった。
 26年度3月期業績予想は、増収・営業増益とした。国内事業は、電力販売減少を見込むものの、セメントの価格是正で増収営業増益。海外事業では、米国事業は販売数量が増加する一方で、コスト上昇により増収減益、豪州は引き続き石炭価格の落ち込みで減収減益とした。海外全体では売上高は3.3%増、営業利益は9.6%減と予想した。
 住友大阪セメントは、セメント国内需要の減少などから減収となった。ただ、22年以降2回実施したセメント1t当たり5000円の価格改定が完遂したことなどで、21年度以降赤字が続いていたセメント事業が黒字化。石炭価格の低下なども後押しし、全体として営業増益となった。
 26年3月期業績予想は増収営業増益とした。4月から新たに始まったセメント値上げ効果は、25年度上期から出始め、セメント事業で営業利益を100億円確保できると予想した。セメント販売数量は、国内は微減とみるが、輸出を10.4%増と予想。特にフィリピンでの需要増を見込む。