【財政健全化にも寄与】
土木学会(佐々木葉会長)は11日、巨大災害に対する国土強靱化施策の効果を検証した研究の最終報告書を公表した。2024年3月公表の中間報告書に南海トラフ地震の推計を追加。被害額は1466兆円と見積もり、インフラ整備などに58兆円以上を投じることで経済被害を約3割軽減し、対策費の約3倍の財政効果が見込めるとした。報告書の取りまとめを担った藤井聡京大教授は「インフラを強化すると被害は縮小できる。政府は速やかに取り組んでほしい」と力を込めた。 報告書は国土強靱化定量的脆弱(ぜいじゃく)性評価委員会(藤井小委員長)がまとめた。インフラ投資の経済・財政両面の合理性を定量的に示すことが狙いで、政府が3月に公表した南海トラフ地震の新たな被害想定を受けて中間報告書を更新した。南海トラフ地震や首都直下地震、高潮・洪水による直接的な資産被害と間接的な経済被害、税収減少や復興費支出による財政被害を推計した上で、必要な公共インフラ整備とその減災額、財政効果を試算した。
南海トラフ地震の被害推計は、資産被害が225兆円、経済被害が1241兆円、財政被害は税収減少が47兆円、復興費が459兆円で計506兆円と見積もった。一方、道路や海岸堤防の整備、建築物の耐震化などの事前対策に58兆円以上を投入することで、経済被害を396兆円抑えられるとした。
加えて、事前対策で税収は15兆円増加、復興年数は約4年、復興費は146兆円圧縮できると見積もり、その財政効果は事前対策費の約3倍の161兆円に上ると推計。公共インフラ投資が災害被害の軽減だけでなく財政健全化にも寄与すると結論付けた。
藤井小委員長は同日に会見し、災害被害の軽減に向けて「政府だけでなく民間も対策を講じていくことが重要になる」と述べ、官民を挙げた対策の必要性を強調した。
政府が6日に閣議決定した国土強靱化実施中期計画については「物価上昇分を加味されたことは大きいが、対策が実質的・抜本的に加速されているわけではない。国民・国家を守るためには、国土強靱化のさらなる加速が必要になる」との認識を示した。
土木学会(佐々木葉会長)は11日、巨大災害に対する国土強靱化施策の効果を検証した研究の最終報告書を公表した。2024年3月公表の中間報告書に南海トラフ地震の推計を追加。被害額は1466兆円と見積もり、インフラ整備などに58兆円以上を投じることで経済被害を約3割軽減し、対策費の約3倍の財政効果が見込めるとした。報告書の取りまとめを担った藤井聡京大教授は「インフラを強化すると被害は縮小できる。政府は速やかに取り組んでほしい」と力を込めた。 報告書は国土強靱化定量的脆弱(ぜいじゃく)性評価委員会(藤井小委員長)がまとめた。インフラ投資の経済・財政両面の合理性を定量的に示すことが狙いで、政府が3月に公表した南海トラフ地震の新たな被害想定を受けて中間報告書を更新した。南海トラフ地震や首都直下地震、高潮・洪水による直接的な資産被害と間接的な経済被害、税収減少や復興費支出による財政被害を推計した上で、必要な公共インフラ整備とその減災額、財政効果を試算した。
南海トラフ地震の被害推計は、資産被害が225兆円、経済被害が1241兆円、財政被害は税収減少が47兆円、復興費が459兆円で計506兆円と見積もった。一方、道路や海岸堤防の整備、建築物の耐震化などの事前対策に58兆円以上を投入することで、経済被害を396兆円抑えられるとした。
加えて、事前対策で税収は15兆円増加、復興年数は約4年、復興費は146兆円圧縮できると見積もり、その財政効果は事前対策費の約3倍の161兆円に上ると推計。公共インフラ投資が災害被害の軽減だけでなく財政健全化にも寄与すると結論付けた。
藤井小委員長は同日に会見し、災害被害の軽減に向けて「政府だけでなく民間も対策を講じていくことが重要になる」と述べ、官民を挙げた対策の必要性を強調した。
政府が6日に閣議決定した国土強靱化実施中期計画については「物価上昇分を加味されたことは大きいが、対策が実質的・抜本的に加速されているわけではない。国民・国家を守るためには、国土強靱化のさらなる加速が必要になる」との認識を示した。