【収益強化へ事業構造転換/リフォーム・改修市場に切り込む】
4月に新たな中期経営計画を始動させたYKKAP。人口減少や住宅着工数の減少、資材・エネルギーコスト高騰などの社会構造と市場環境の変化を背景に、ビル・住宅双方で新築からリフォーム・改修市場への本格的な参入に打って出る。 --2024年度の業績は
「前中計の締めくくりとして過去最高の売上高を記録したものの、資材価格の上昇や円安によるコスト増などで、前中計期間は利益面で非常に厳しい環境だった」
「外的環境による大幅なコスト増は、従来のコストダウン努力では吸収しきれない。新中計では、リフォーム市場参入や素材構成の見直し、AI(人工知能)による生産性向上といった事業構造の転換で収益力強化を目指す」
--新市場に向けた戦略は
「住宅分野は、これまで手薄だったホームセンターや家電量販店、リフォーム専門店といったリテール部門へのアプローチを強める。今までは地域の支社・支店が個別の方針で対応してきたが、本社主導で全国を見渡す体制に切り替えた」
「ビル改装でも、老朽建物の改修需要を見据えて支社・支店体制を増強した。今後は仙台や広島などの地方の都市部にも拠点を広げていく。住宅部門からビル部門に人員を移し、組織と人材の両面から体制を強化していく」
「内窓の新商品『ウチリモ』を全国展開した。既存製品では対応が難しかったマンションやツーバイフォー住宅にも取り付けられるように設計を見直し、対応窓種を大きく広げた」
--生産効率化の方策は
「図面を基にした見積業務にAIを導入した。工場間の生産調整の平準化や安全管理の高度化もAI主導で進めていく。黒部越湖製造所で組み立てラインの夜間無人化に取り組んでいるほか、今後、神戸市の六甲窓工場についても中計期間中に樹脂窓ラインの夜間無人化を目指す」
--価格や環境への対応は
「アルミ地金価格の高騰に対応するため、樹脂窓と木製窓の割合を高め、高断熱化や環境負荷の低減を図る。リサイクル面では樹脂の社内リサイクル率を100%に引き上げた。ただ、回収の仕組みが整っていない市中廃棄物の再資源化技術の開発を官民連携で進める必要がある」
--人的資本投資について
「キャリアは会社ではなく自分で考えるものだ。10年ごとの節目にキャリア研修を設け、自分の将来を見直す機会をつくった。必要な学びは会社が支援する。女性の管理職比率を高めるための『マドキャリ』など育成プログラムも展開し、多様な人材が長く活躍できる環境を整えていく」
(うおづ・あきら)「休日は2時間ほどかけて10㎞歩く」。仕事から離れて自然の変化を眺めながら汗を流すひとときが、心身を整える秘訣(ひけつ)だという。
4月に新たな中期経営計画を始動させたYKKAP。人口減少や住宅着工数の減少、資材・エネルギーコスト高騰などの社会構造と市場環境の変化を背景に、ビル・住宅双方で新築からリフォーム・改修市場への本格的な参入に打って出る。 --2024年度の業績は
「前中計の締めくくりとして過去最高の売上高を記録したものの、資材価格の上昇や円安によるコスト増などで、前中計期間は利益面で非常に厳しい環境だった」
「外的環境による大幅なコスト増は、従来のコストダウン努力では吸収しきれない。新中計では、リフォーム市場参入や素材構成の見直し、AI(人工知能)による生産性向上といった事業構造の転換で収益力強化を目指す」
--新市場に向けた戦略は
「住宅分野は、これまで手薄だったホームセンターや家電量販店、リフォーム専門店といったリテール部門へのアプローチを強める。今までは地域の支社・支店が個別の方針で対応してきたが、本社主導で全国を見渡す体制に切り替えた」
「ビル改装でも、老朽建物の改修需要を見据えて支社・支店体制を増強した。今後は仙台や広島などの地方の都市部にも拠点を広げていく。住宅部門からビル部門に人員を移し、組織と人材の両面から体制を強化していく」
「内窓の新商品『ウチリモ』を全国展開した。既存製品では対応が難しかったマンションやツーバイフォー住宅にも取り付けられるように設計を見直し、対応窓種を大きく広げた」
--生産効率化の方策は
「図面を基にした見積業務にAIを導入した。工場間の生産調整の平準化や安全管理の高度化もAI主導で進めていく。黒部越湖製造所で組み立てラインの夜間無人化に取り組んでいるほか、今後、神戸市の六甲窓工場についても中計期間中に樹脂窓ラインの夜間無人化を目指す」
--価格や環境への対応は
「アルミ地金価格の高騰に対応するため、樹脂窓と木製窓の割合を高め、高断熱化や環境負荷の低減を図る。リサイクル面では樹脂の社内リサイクル率を100%に引き上げた。ただ、回収の仕組みが整っていない市中廃棄物の再資源化技術の開発を官民連携で進める必要がある」
--人的資本投資について
「キャリアは会社ではなく自分で考えるものだ。10年ごとの節目にキャリア研修を設け、自分の将来を見直す機会をつくった。必要な学びは会社が支援する。女性の管理職比率を高めるための『マドキャリ』など育成プログラムも展開し、多様な人材が長く活躍できる環境を整えていく」
(うおづ・あきら)「休日は2時間ほどかけて10㎞歩く」。仕事から離れて自然の変化を眺めながら汗を流すひとときが、心身を整える秘訣(ひけつ)だという。