夏季作業用の歩掛提言/休憩確保で作業時間低下/青柳群馬建協会長 | 建設通信新聞Digital

9月9日 火曜日

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夏季作業用の歩掛提言/休憩確保で作業時間低下/青柳群馬建協会長

 群馬県建設業協会の青柳剛会長は5日、前橋市の群馬建設会館で会見し、7、8月の気温や暑さ指数(WBGT)の実測値を踏まえ、「夏季作業用の歩掛かりを策定する必要がある」と提言した=写真。休憩時間の確保のため、1日の作業時間が5時間程度に低下するとしている。休憩施設でのクーラー設置など設備費用増加に対応するため、現場環境改善費の積み上げ積算を実費計上に変更することも要望。屋外作業が避けられない建設業の実態に合わせ、時間外労働の上限規制を緩和する必要性も強調した。8日に開く国土交通省関東地方整備局や群馬県との意見交換、10月の関東甲信越ブロック会議などの場で提示し訴えていく。
 7、8月の平日午前9時から午後5時まで毎正時に気温、湿度、WBGTを計測した結果を踏まえて提言した。建設業の道路工事現場の実態に近い、群馬建設会館前の照り返しのある道路上で調査した。
 調査結果によると、観測数316回で、厳重警戒レベルとされる「気温31度またはWBGT28以上」を261回(82.6%)、作業休止を判断するレベルである「気温35度またはWBGT31以上」は212回(67.1%)測定した。最も高い気温は8月4日午後3時に49.7度を観測、WBGTの最高値は同月29日午前11時の33.2だった。
 観測値から建協は、厳重警戒レベルが約8割だったことを考慮すると、2割で8時間働くと仮定した場合でも1日の作業時間平均は5時間程度に低下し、WBGT25以上28以下の現場で8時間は働けないため、実態はそれ以下になるとした。
 WBGT値28以上の現場では休憩時間確保が必須となるが、「結果的に夏季の時間外労働が増加するため、年末年度末の繁忙期を迎える上で時間外労働規制が足かせになる」とも指摘し、『年720時間、月45時間超は6カ月まで』の規制緩和が必要とした。
 提言を発表した青柳会長は「時間外労働規制が始まり1年半がたつが、業界全体で働き方を考えなくてはならない。屋外作業がある建設業の実態に合わせて考える必要がある」と指摘。25年度内にも事業主、発注機関などとの意見交換の場を設け、業界外に建設業の実態を発信したい考えも示した。