約半数で独自歩掛かり設定/都道府県、政令市/国交省 | 建設通信新聞Digital

9月29日 月曜日

行政

約半数で独自歩掛かり設定/都道府県、政令市/国交省

【年度内に作成手順提示】
 国土交通省は、地方自治体発注工事の積算に使う歩掛かりについて、直轄工事の標準歩掛かりと異なる独自歩掛かりの作成状況を調査した結果をまとめた。現場実態と標準歩掛かりがあっていないなどの理由で、都道府県・政令市の約半数に当たる33団体が独自の歩掛かりを設定していた。国交省は歩掛かりの作成手順などを示す事例集を2025年度内にもまとめる。 自治体発注工事の歩掛かりは基本的に標準歩掛かりを準用している。ただ、自治体発注工事と比べ直轄工事はロットが大きいため、地域建設業からは予定価格が正確に算出されていないなどの指摘が出ている。一部で独自歩掛かりを設定する事例は見られるものの、これまで正確な実態が把握されていなかったため調査を実施した。
 調査結果によると、都道府県、政令市の約半数の33団体で独自歩掛かりを設定していた。自治体発注工事の現場実態と標準歩掛かりが乖離(かいり)していることを理由に挙げる団体が多い。発注のたびに見積もり徴収して歩掛かりを設定することが負担とする職員の声を踏まえて独自歩掛かりを設定している団体もあった。
 歩掛かりの調査方法は「団体職員による直轄調査」が24%、「業務委託による調査」が18%、「施工会社へのヒアリング」が20%。このほかに複数の施工会社から見積もりを徴収して歩掛かりを作成していたり、各工法の関係協会が作成した歩掛かりなど他の基準を使う事例も見られた。
 独自歩掛かりを設定していない34団体にその理由を聞くと、現場実態を反映するため工事ごとに見積もり徴収で歩掛かりを設定しているとする回答が最も多かった。歩掛かりを設定するための調査に手間がかかることを理由に挙げる団体もいた。
 また、34団体のうち9団体は独自歩掛かりを作成する意向があった。歩掛かり作成のための調査に手間がかかることや、作成方法が分からないとする団体もあるため、国交省は歩掛かりの作成手順や個別自治体の好事例をまとめた事例集を作成し、広く周知する。