トップに聞く・NTTファシリティーズ社長 川口 晋(かわぐち・すすむ)氏 | 建設通信新聞Digital

12月8日 月曜日

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トップに聞く・NTTファシリティーズ社長 川口 晋(かわぐち・すすむ)氏

【プロポーザルに積極挑戦】

 「国内で新築されるデータセンター(DC)の7、8割において、何かしらの業務に携わっている」。NTTファシリティーズの川口晋社長がそう語るように、同社はDC分野で業界をリードしてきた。20年以上かけて築いてきたこの分野の“信頼”をさらに強固にすることはもちろんだが、現在川口社長がこだわるのが、「新たな成長領域の開拓」だ。そのために、「積極的にプロポーザルに挑戦していく」と意欲を示す川口社長に、今後の取り組み方針を聞いた。 これまで綿々と積み上げてきたNTTグループ施設の整備・維持管理のノウハウを広く社会に届けるためには、「『自分たちに何ができるか』ではなく、金融界などの各マーケット・業界が求めていることに精通する必要がある」と指摘する。さらに、「お客さまのその先にもお客さまがいる。ステークホルダー全体の状況を熟知していなければならない」と説く。そこで現在社内では、「各マーケットのニーズを的確にとらえ、より高度な価値提供を目指すための体制強化に着手した」と状況を説明する。
 多分野・マーケットへの精通を目指し、ここ数年、さまざまな分野の人材獲得に動いている。その代表がキャリア採用だ。25年度の採用予定人数は約120人に上るという。新卒も、建築分野に限らず環境関連を学んできた学生を対象にするなど、採用の幅は広い。
 ここまで深く各業界を知ることにこだわる背景には、DCの事例があるとし、「20年以上にわたり徹底的にICTインフラに向き合ってきたからこそ、現在の成功がある」と強調する。
 産業を問わず人材獲得競争が激化する中、多様な分野を強化することで、「当社がさまざまな分野で魅力的な建物を設計していることの対外的な発信につながる。『NTTファシリティーズがやっているプロジェクトに携わりたい』と学生の皆さんに思ってもらえる会社にしていきたい」と決意を示す。
 だからこそ、「今後数年確実に伸びていくDC分野での成長を原動力に、他分野でも価値創出と収益拡大を目指す」と意気込む。官民問わず、PFIを含め積極的にプロポーザルに挑戦し、「当社だからこそできる価値を創造する。そうしたフェーズに入っていく」と前を向く。
 DC分野については、業界をリードする立場だからこそ、全体を見通しながら、外資系の企業からDC建設地として「日本を選んでもらえるようにしなければならない」と使命を感じている。
 そのためにはコストはもちろん、「完成までにかかる期間をいかに圧縮し、スピード感を持ってプロジェクトを進めていけるかが鍵を握る。設計と工事をオーバーラップさせてプレハブ化を進めていくことが必要だ。工期短縮の実現という課題に引き続き注力していく」と気を引き締める。