【つくり まもり たかめる/人の行動の変化を内包/NTTファシリティーズ 川口晋(かわぐち・すすむ)社長】
「つくり、まもり、たかめる」。NTTファシリティーズの川口晋社長は、同社の「Our Purpose」にあるこの言葉を常に意識しながら、“未来につながる建築”の在り方を探求している。特にデジタル技術が日常生活に浸透した今、社会インフラともいえるデータセンター(DC)には、完成後適切に保守・保全し、時代に合わせて設備を高める視点が欠かせないという。
AI(人工知能)の普及に伴いDC需要が高まっているが、データを学習・推論するためには大量の電力を必要とする。脱炭素とAI社会の両立には「いかにエネルギー効率を高めるか。ライフサイクルを通して環境に配慮した建築をつくることが不可欠だ」と“つくる”際に留意すべき点を強調する。
整備後の“守る”段階では、「自然災害などによって障害を受け、社会機能がまひするという事態を決して起こしてはならない。レジリエントな社会インフラとして、守り続ける視点が重要性を増している」と思いを込める。
“高める”視点も必要だ。DCは多量の熱を排出するからこそ、「その熱を無駄にするのではなく、地域の熱源として利活用することを考えている」とし、“個”だけでなく、地域全体の価値を高める必要性を感じているという。
さらに、建物躯体と設備の耐用年数が異なる上、設備は時代に合わせて進化・変化していくだけに「新築時点で将来的な設備の更改を意識して設計することが必要だ。それにより将来、無駄なコストを発生させないことにもつながる」とし、新築段階から“高める”意識を持つことの重要性を主張する。時代によって建物に求められる機能は変化していくからこそ、高める視点を考える上で、リノベーションも有効だという。
建物のライフサイクル全体を通して考えるためには「共創」の視点が欠かせない。例えば同社では、日本郵船などと共同で、再生可能エネルギー100%で稼働する洋上浮体型DCの実証実験を開始した。それぞれの企業の強みを掛け合わせることで、社会課題の解決を目指している。
「つくり、まもり、たかめる」ことはDCに限った話ではなく、学校やオフィス、病院など、他のあらゆる施設に当てはまる。これらの施設もまた、社会や技術の変化に呼応しながら機能を更新し続ける存在で、その変化の中心にいるのは“人”だ。この“人”の視点に立ったときに大切となるのが「人の行動の変化を内包した建物をつくり続けること」だと説く。
その例として、ICTの活用がある。例えば「近畿大学 ACADEMIC THEATER」では、図書館スペースの全ての本にICTタグを取り付け、本のある場所を把握できるようにした。これにより、これまでできなかった空間構成を実現。利用方法に柔軟性を持たせることができた。
【業績メモ】
DC市場が「堅調に伸びている」。DC以外では、維持管理を中心としたファシリティーマネジメントやリノベーション、ワークプレイスの最適化に力点を置き、「しっかり伸ばしていこうと取り組みを進めている」
「つくり、まもり、たかめる」。NTTファシリティーズの川口晋社長は、同社の「Our Purpose」にあるこの言葉を常に意識しながら、“未来につながる建築”の在り方を探求している。特にデジタル技術が日常生活に浸透した今、社会インフラともいえるデータセンター(DC)には、完成後適切に保守・保全し、時代に合わせて設備を高める視点が欠かせないという。
AI(人工知能)の普及に伴いDC需要が高まっているが、データを学習・推論するためには大量の電力を必要とする。脱炭素とAI社会の両立には「いかにエネルギー効率を高めるか。ライフサイクルを通して環境に配慮した建築をつくることが不可欠だ」と“つくる”際に留意すべき点を強調する。
整備後の“守る”段階では、「自然災害などによって障害を受け、社会機能がまひするという事態を決して起こしてはならない。レジリエントな社会インフラとして、守り続ける視点が重要性を増している」と思いを込める。
“高める”視点も必要だ。DCは多量の熱を排出するからこそ、「その熱を無駄にするのではなく、地域の熱源として利活用することを考えている」とし、“個”だけでなく、地域全体の価値を高める必要性を感じているという。
さらに、建物躯体と設備の耐用年数が異なる上、設備は時代に合わせて進化・変化していくだけに「新築時点で将来的な設備の更改を意識して設計することが必要だ。それにより将来、無駄なコストを発生させないことにもつながる」とし、新築段階から“高める”意識を持つことの重要性を主張する。時代によって建物に求められる機能は変化していくからこそ、高める視点を考える上で、リノベーションも有効だという。
建物のライフサイクル全体を通して考えるためには「共創」の視点が欠かせない。例えば同社では、日本郵船などと共同で、再生可能エネルギー100%で稼働する洋上浮体型DCの実証実験を開始した。それぞれの企業の強みを掛け合わせることで、社会課題の解決を目指している。
「つくり、まもり、たかめる」ことはDCに限った話ではなく、学校やオフィス、病院など、他のあらゆる施設に当てはまる。これらの施設もまた、社会や技術の変化に呼応しながら機能を更新し続ける存在で、その変化の中心にいるのは“人”だ。この“人”の視点に立ったときに大切となるのが「人の行動の変化を内包した建物をつくり続けること」だと説く。
その例として、ICTの活用がある。例えば「近畿大学 ACADEMIC THEATER」では、図書館スペースの全ての本にICTタグを取り付け、本のある場所を把握できるようにした。これにより、これまでできなかった空間構成を実現。利用方法に柔軟性を持たせることができた。
【業績メモ】
DC市場が「堅調に伸びている」。DC以外では、維持管理を中心としたファシリティーマネジメントやリノベーション、ワークプレイスの最適化に力点を置き、「しっかり伸ばしていこうと取り組みを進めている」













