政府の「首都直下地震対策検討ワーキンググループ」は19日、首都直下地震緊急対策推進基本計画の見直しに向けた報告書をまとめた。最悪のケースとして死者数は約1万8000人、全壊・焼失棟数は約40万棟を想定し、経済的な被害額は国内総生産(GDP)の1割超に相当する83兆円を見込んだ。首都中枢機能の確保と人的・物的被害への対応強化を重要視するとともに被災後の迅速な復興に向けた備えを求めた。被害の絶対量を減らすための予防対策として、人的被害の主原因となる建物被害を軽減する建築物・施設の耐震化、延焼被害の抑制などの火災対策、あらゆる活動の基盤となるライフラインやインフラの強靱化などを挙げた。 =関連2面
同計画は首都直下地震に対する減災目標や目標達成の施策などを定める。策定から10年が経過することから、政府業務継続計画とともに見直す。報告書では被害想定を更新し、新たな防災対策を示した。
最悪のケースでの被害想定は、死者数は揺れなどの被害で約5300人、火災による被害で約1万2000人。全壊・焼失棟数は揺れなどの被害で約11万棟、火災による被害で約27万棟と算出した。災害関連死者は約1万6000-4万1000人、避難者は約480万人、帰宅困難者は約840万人とした。
電力は供給力の低下が1カ月程度続くと予測。被災直後には停電が約1600万軒で発生し、固定電話・インターネット回線は約760万回線が不通となると想定した。
上水道の断水は停電を考慮しない場合、全体の28%に当たる約1300万人、下水道の機能支障は約180万人と試算した。
道路施設は約1万0900カ所が被害を受けるとした。内訳は高速道路が約80カ所、指定区間の一般国道が約260カ所、指定区間外の一般道路・都県道・市町村道など約1万0600カ所。線路変状などの鉄道施設被害は新幹線で約70カ所、在来線で約6200カ所、橋梁など鉄道構造物は中小被害で約880カ所、と想定した。港湾の被害は岸壁で約310カ所、その他係留施設で約300カ所と推計した。
経済的被害については、被災地での資産などの被害が45兆円、全国の経済活動への影響は38兆円に及ぶとした。
対策としては、発災時に被災地での災害対応、国民生活や経済活動に影響が及ばないよう首都中枢機能の確保に取り組むことを求めた。中央省庁があるエリアなどで敷地内配管の耐震化や電力・通信の二系統引き込みなど執務環境整備の必要性を示した。
耐震不足のマンションについては、区分所有法などで定める建て替え決議ルールの緩和により建て替えを促進する必要性を指摘した。
上下水道は上下水道システムの要となる施設や重要施設に接続する管路の耐震化を進めるとともに、道路は緊急輸送道路のうち首都中枢機能を継続するために重要な区間で橋梁の耐震補強を重点的に進めるよう求めた。
防災対策を進めた場合に見込まれる被害軽減効果を試算した。全壊棟数は約11万2000棟としているが、耐震化対策により87%減の約1万5000棟まで減らせると推測した。現状、感震ブレーカーなどの設置率は20%にとどまり、焼失棟数の想定は約26万8000棟に上るが、100%を達成した場合、72%減の約7万4000棟まで縮減できるとした。
被害想定を超えて発生する可能性がある過酷事象も明記した。海外保全施設や河川管理施設の沈下・損壊、局所的な地盤変状による交通施設の大規模被災、首都圏全域での大規模停電などを挙げた。
同計画は首都直下地震に対する減災目標や目標達成の施策などを定める。策定から10年が経過することから、政府業務継続計画とともに見直す。報告書では被害想定を更新し、新たな防災対策を示した。
最悪のケースでの被害想定は、死者数は揺れなどの被害で約5300人、火災による被害で約1万2000人。全壊・焼失棟数は揺れなどの被害で約11万棟、火災による被害で約27万棟と算出した。災害関連死者は約1万6000-4万1000人、避難者は約480万人、帰宅困難者は約840万人とした。
電力は供給力の低下が1カ月程度続くと予測。被災直後には停電が約1600万軒で発生し、固定電話・インターネット回線は約760万回線が不通となると想定した。
上水道の断水は停電を考慮しない場合、全体の28%に当たる約1300万人、下水道の機能支障は約180万人と試算した。
道路施設は約1万0900カ所が被害を受けるとした。内訳は高速道路が約80カ所、指定区間の一般国道が約260カ所、指定区間外の一般道路・都県道・市町村道など約1万0600カ所。線路変状などの鉄道施設被害は新幹線で約70カ所、在来線で約6200カ所、橋梁など鉄道構造物は中小被害で約880カ所、と想定した。港湾の被害は岸壁で約310カ所、その他係留施設で約300カ所と推計した。
経済的被害については、被災地での資産などの被害が45兆円、全国の経済活動への影響は38兆円に及ぶとした。
対策としては、発災時に被災地での災害対応、国民生活や経済活動に影響が及ばないよう首都中枢機能の確保に取り組むことを求めた。中央省庁があるエリアなどで敷地内配管の耐震化や電力・通信の二系統引き込みなど執務環境整備の必要性を示した。
耐震不足のマンションについては、区分所有法などで定める建て替え決議ルールの緩和により建て替えを促進する必要性を指摘した。
上下水道は上下水道システムの要となる施設や重要施設に接続する管路の耐震化を進めるとともに、道路は緊急輸送道路のうち首都中枢機能を継続するために重要な区間で橋梁の耐震補強を重点的に進めるよう求めた。
防災対策を進めた場合に見込まれる被害軽減効果を試算した。全壊棟数は約11万2000棟としているが、耐震化対策により87%減の約1万5000棟まで減らせると推測した。現状、感震ブレーカーなどの設置率は20%にとどまり、焼失棟数の想定は約26万8000棟に上るが、100%を達成した場合、72%減の約7万4000棟まで縮減できるとした。
被害想定を超えて発生する可能性がある過酷事象も明記した。海外保全施設や河川管理施設の沈下・損壊、局所的な地盤変状による交通施設の大規模被災、首都圏全域での大規模停電などを挙げた。











