直轄土木で猛暑対策集/夏場回避し工期設定/必要費用を確保/国交省 | 建設通信新聞Digital

12月24日 水曜日

行政

直轄土木で猛暑対策集/夏場回避し工期設定/必要費用を確保/国交省

猛暑対策サポートパッケージの主な施策
 国土交通省は23日、直轄土木工事を中心に2026年夏に向けて実施する猛暑対策集を発表した。建設業団体との意見交換を踏まえ、猛暑に対応した工期設定や新技術導入、熱中症対策費の支援などの施策を整理。夏場を回避した工期設定での発注を進めるほか、積算基準を改定して実態に応じた熱中症対策費用を確保できるようにする。 「建設工事における猛暑対策サポートパッケージ」は、▽猛暑期間・時間の作業回避▽効率的な施工、作業環境の改善▽猛暑対策に必要な経費の確保▽地方自治体や民間発注者への周知・要請、好事例の横展開--の4本柱で施策をまとめた。
 猛暑下での作業回避に向けて、比較的工期が短い工事は秋以降に施工できるように発注する。猛暑期間の休工に必要な費用や取り組みを調査する試行工事も26年度に実施し、当初発注段階での追加費用の明示方法や積算方法などを検討する。
 直轄土木工事の特記仕様書の記載も充実させる。関東地方整備局宇都宮国道事務所の試行を参考に、猛暑期間の休工を監督職員と協議できる旨を明記する工事を広げる。早朝や夜間に施工する場合に要する警察などとの協議に発注者が協力することも記載する。
 直轄土木の諸経費動向調査で把握した熱中症対策費用の実態を踏まえ、現場環境改善費の計上費目の見直しなどを積算基準改定で検討する。直接工事費の歩掛かりについても施工合理化調査の結果に基づき猛暑による施工効率への影響を分析し、見直しを考える。
 直轄土木の総合評価方式の技術提案評価型S型で、猛暑下での作業回避や人力作業の削減につながるテーマを設定し、入札参加者の提案を促す。SBIR建設技術研究開発助成制度で熱中症対策の技術開発を公募、支援する。
 1年単位の変形時間労働制の導入に前向きな建設会社や厚生労働省と連携して運用時の課題や改善策を洗い出し、より柔軟な活用に向けた方策を探る。
 猛暑日を考慮した適正な工期設定を地方自治体や民間発注者に働き掛けるほか、受発注者の優れた取り組みを収録した事例集を周知する。
 猛暑期間の休工により目減りが見込まれる日給制の技能者の年間総労働時間や年収を確保する方策などは中長期の対応課題に位置付けた。
 金子恭之国土交通相は同日の閣議後会見で「建設業の担い手確保に向けて、他産業と遜色ない労働条件・労働環境を実現するためにも厳しい夏の暑さ対策が重要だ」と述べ、施策の展開に意欲を示した=写真。