熊本県の宇城市や氷川町で最大震度7を記録した「令和8年熊本地震」。28日午後4時27分の発生直後から九州地方整備局、熊本県などが災害対策本部を立ち上げて活動を始めた。地元建設業界も災害協定に基づき災害箇所の情報収集、応急対策などに取り組み、今後本格化する復旧作業に備えている。 =1面参照
九州地方整備局は地震発生直後に災害対策本部を設置。翌29日にはTEC-FORCE(緊急災害対策派遣隊、テックフォース)の先遣調査班28人を派遣し、熊本県庁や八代市、宇城市、氷川町などで被災状況調査に入った。また、防災ヘリコプター「はるかぜ」による上空調査や、給水機能付き散水車、照明車など災害対策用機械を八代市や氷川町に派遣する準備を進めている。
テックフォースの出発式で垣下禎裕局長は「地域の被災者に寄り添いながら、一刻も早く被災状況を把握し、われわれにできる最大限の支援を、全力で行いたい」と述べた=写真。
熊本県建設業協会は、県との災害協定に基づく要請を受け、八代、鹿本、宇城地区で支部ごとに道路パトロールや応急対応を実施している。29日午前の時点で災害対策本部は設けていないが、被害が広範囲に及ぶ場合は設置を検討する。
日本建設業連合会九州支部は、整備局の要請を受け、氷川町やイオンモール熊本への仮設トイレ設置を手配。さらに、NEXCO西日本の要請に基づき、29日朝に通行止め区間の高速道路橋梁を点検するため、6社の技術者8人を派遣した。日本道路建設業協会も災害対策本部を設置し、今後の要請に備えている。
建設コンサルタンツ協会九州支部は、熊本県や熊本市、益城町などからの要請を受けて橋梁点検などを行うほか、九州地方整備局からの要請にも対応できるよう準備を進めている。
熊本県測量設計コンサルタンツ協会は、県の要請を受け、八代市、宇城市、熊本市、氷川町などで実施する被害状況調査に向けて準備を進めている。調査では、被災箇所の現地確認や復旧に必要な概算費用の算出を行い、災害査定に必要な資料を作成するなど、復旧・復興に向けた支援に当たる。
今回の地震は、極めて広範囲に甚大な被害をもたらした。国土地理院によると、八代市で北東に最大約84cm、熊本市で北に約40cmの地殻変動を観測。強い揺れの影響で路面の亀裂や隆起などが多発し、九州自動車道などの高速道路が広範囲で通行止めとなったほか、国道3号や多数の地方道が寸断された。鉄道も新幹線や在来線が運休し、JR八代駅構内では貨物列車の脱線・横転事故も発生。さらに、八代港での岸壁の液状化や熊本港の人道橋損傷など、陸・海・鉄路の物流・交通網が大きな打撃を受けている。
ライフラインの被害も深刻で、熊本県内では29日朝時点で約3万6700戸の広域停電が続くほか、17市町村で約14万軒に及ぶ大規模な断水が発生し、都市ガスの供給停止も相次ぐ。
2次災害も事態を深刻化させている。日本製紙八代工場では煙突が倒壊して従業員が巻き込まれたほか、嘉島町のイオンモール熊本では施設の崩落後にガス爆発とみられる事象が発生し、多数の死傷者を出した。熊本城や八代城跡の石垣崩落といった被害も確認されており、依然として余震が続く中、被害の全容把握と救命活動が急がれている。
