【ネットワークを次世代へ】
首都高速道路会社の青木由行社長は就任から約1カ月がたち、「現場では日々のメンテナンスや有事に素早く対応する社員やグループ会社、協力会社の皆さんが、モチベーション高く業務に当たっている。首都高ネットワークと、それを支える人的資産を次世代に受け渡さなければいけない」との思いを明かし、「安心して誇りを持ち、前向きに働ける環境を整える」との決意も示す青木社長に、今後の方針を聞いた。
--注力分野は
「新設のほか、今後も日本橋の地下化といった大規模更新、修繕など、さまざまなプロジェクトが続く。ETC専用レーン化は、スムーズに移行が進み、料金車とETC車の接触事故を防ぎ、利用者の利便性も高まる。料金所の従事者の人手不足にも対応できるため、DX(デジタルトランスフォーメーション)技術も使いながら取り組みを継続する」
--技術開発について
「過密な場所に道路を通すなど、難しい制約条件下でネットワークを整備してきた歴史があり、おのずと新しいことを考え、技術を純粋に突き詰める組織文化がある。首都高発の技術は数多く、それを活用することは社員の士気向上にもつながる。従来からさまざまな企業と協力して技術開発しているが、工事に携わる建設会社やメーカーだけでなく、ベンチャーや大学発の技術など連携する対象をさらに広げる。技術は実装を前提に開発しており、実装率の高さも強みだ」
「次世代の道路空間に向け、自動運転の実証を推進している。こうした技術の進化により安全で走りやすい道路になる。首都高が使いやすい道路ネットワークであることは、一般道も含めて環境が良いまちづくりにつながる」
--成長分野への挑戦は
「国内外のコンサルティングやメンテナンスを担う『社会インフラサポート事業』では、蓄積してきたノウハウを国内外に展開している」
「民営化により、道路事業だけでなく、関連事業の幅を広げられるため、さらなる新規事業を創造する機運も醸成している。高速道路事業で培った知見を不動産などに生かし、柔軟な発想でワクワクする事業に挑戦する」
--入札契約方式の考え方は
「民営化の原点である透明性と競争性に回帰しつつ、予測不能な環境下でも、維持管理の質の低下や工事の停滞を招かないように、複雑化する社会課題に対応できるような“足腰を強くする”入札契約制度にしたい。難度が高い工事にも対応できる入札契約方式も追求する必要がある」
--人材の確保・育成は
「さまざまなプロジェクトに関わり、社内の方針、先輩の姿勢に触れることが大切だ。事業が社会に提供する価値、将来的に目指す姿を社員にしっかり示している企業だと感じており、社内のモチベーションアップや採用に良い影響がある。それぞれが携わる仕事の意味を考え、見える化していく」
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(あおき・よしゆき)1986年3月東大法学部卒後、同年4月建設省(現国土交通省)入省。2007年5月鳥取県企画部長、12年4月国土交通省土地・建設産業局建設業課長、15年7月道路局次長、20年7月不動産・建設経済局長、21年7月内閣府地方創生推進事務局長、22年10月不動産適正取引推進機構理事長などを経て、26年6月から現職。山口県出身。62年12月9日生まれ、63歳。京橋~芝浦間の首都高最初の区間が供用されたのも同年同月。
◆記者の目
「趣味は建設業」と明るく笑うように、国土交通省の建設業課長として業界に関わるようになって以来、業界をより良くするため、課題に真摯(しんし)に向き合い、解決に奔走してきた。「首都高ネットワークの価値を高めて次世代に引き継ぐことは、首都圏の人流や物流、ひいては日本の経済や生活を支えることにつながる」と話すように、まち全体の持続的な発展を見据えて、持ち前の鋭く多角的な目線と「建設業界愛」を発揮し、強靱な首都高を着実に整備していく。
