【豊かな生活へ流域総合水管理/ハード・ソフト両面で気候変動対応】
国土交通省水管理・国土保全局長に就任した森本輝氏が日刊建設通信新聞社などの共同インタビューに応じた。「水は、災害を生み出すこともあるが、人々の豊かな生活をつくる上でなくてはならないもの。この水をどのようにマネジメントしていけば良いか挑戦していきたい」と抱負を語り、多くの関係者と連携を密にした流域総合水管理の推進に力を入れていく。
流域治水では激甚化、頻発化する自然災害に対応するため、「気候変動を前提とした河川整備計画に見直し着実にハード整備を進めていく。下水道整備についても安全目標を再設定して進める必要がある」との考えを示す。その上で「ハード整備だけでは対応できない部分はソフト対策で対応していくことが大事」と、ハード、ソフトを組み合わせていくことを強調する。
深刻化するインフラの老朽化については「特に、上下水道は個人個人の生活と直結しているため、機能が失われないように老朽化対策や耐震化を進めていかなくてはならない」と力を込める。上下水道インフラに関しては、浄水場や汚水処理場による集中制御と、小型浄水装置や合併処理浄化槽などの分散システムを組み合わせていく方針だが、「リダンダンシー(冗長性)の確保とコストのバランスを考慮し組み合わせることが課題だ」と指摘する。
排水機場などの河川施設の老朽化についても、社会的、経済的な影響が大きい「急所施設」の予防保全に努めるとともに、「万が一の事態でも早期復旧できるよう予備のポンプを確保するなど、リダンダンシー確保の観点から対応を考えていく必要がある」と語る。
施設の維持管理を担う地方自治体の技術者の不足も課題に挙げる。DX(デジタルトランスフォーメーション)の進展により遠隔でも管理できる技術が生まれていることから「現場のことは現場でやることが必ずしも大事というわけではない時代になっている。より効率的に管理できる仕組みを考えていかなければならない」と話す。
TEC-FORCE(緊急災害対策派遣隊)の出動ではプッシュ型の支援を重要視。「被災地からの要請を待つことなく、何ができるか考えて実行する。想像力を広げて対応することが求められている」と指摘し、その広がりこそ、できることや実行力の強化につながると考える。
8月7日付の赴任以降、関東や北陸、東海などで豪雨災害が頻発し、今は災害対応が業務の中心となっている。昼夜問わず対応に当たる職員や建設業者の姿に「改めてすごいと思った」と明かす。「みんな歯を食いしばってなんとかしようと頑張ってくれている。決壊した堤防の対処でも、鋼矢板による仮締め切りのような100点のやり方を目指すのではなく、石を詰めてブルーシートを張るなど今できることを最優先に考え、実行に移している」と振り返り、関係者が総力を結集し迅速な対応に努めていることに敬意を払う。
