【オールジャパンで海外展開推進/日本の立ち位置分析し支援】
鶴田浩久国土交通審議官は7日、日刊建設通信新聞社などのインタビューに応じた。インフラ分野の海外展開など国際関係の業務を指揮する立場として「いろいろなバックグラウンドを持った多くの関係者と連携しながら、風通しの良い関係を築いていく。最終的にオールジャパンでどうしていけば良いかを考え、心を砕いていきたい」と意気込む。
国交省では所管事業のノウハウの提供を通じて、関係企業・団体と連携したインフラシステムの海外展開を進めている。タイのバンコクやインドネシアのジャカルタで進められているTOD(公共交通指向型開発)の検討や3次元都市モデルの活用に期待を寄せ、「日本が強みを持っている分野なのでこれからも進めていきたい」と語る。また、日本がさまざまな災害を経て技術を積み重ねてきた防災も「今後、有望な分野となる。事前防災という概念を含め広めていくべきだろう」と見通す。ベトナムや南アフリカ、トルコなどではワークショップを実施し、日本が持つシーズと相手国のニーズのマッチングを図っている。
企業の海外展開を下支えする立場として、「海外でビジネスを進める上で相手国の政府との関係が重要となる場面がある。その関係構築は国交省が頑張らなくてはならないことだ」と力を込める。日本企業とのコミュニケーションも重視し、「それぞれの企業が抱える不安や困りごとを解消するため積極的に対話していく」方針だ。
ロシア侵攻による戦禍が続くウクライナに対しては、25年に設立した日ウクライナ・国土交通インフラ復興に関する官民協議会(JUPITeR)を通じて、今後の本格的な復旧・復興に向け日本の遠隔施工技術の導入に取り組んでいる。誰もが安全に建設作業ができる環境の構築を目指す。「現地はまだ予断を許さない状況だが、今後、さらに復興へのニーズが増していく可能性がある。その中で、遠隔施工によるがれき処理で日本が大きく貢献することができる。プレハブ建築による復興住宅に対するニーズも高まっている」と語る。日本の技術導入により、復興が迅速に進むとともに、日本企業にとってもビジネスチャンス獲得につながるウィンウィンの構築を目指す。
海外でビジネス展開を進める上で気をつけなければならない点として「日本が世界で一番優れていると錯覚してしまうこと」を挙げる。「もちろん依然として比較的に優位性がある分野もあるが、他の国と競争していく中で、優位ではない分野もあることもきちんと自覚しなければならない」と指摘。国際基準の制定についても「日本が主導するのが有利な場合もあれば他国に付いていく方が良い場合もある。冷静に日本の立ち位置を分析していく必要がある」と話す。常に日本の強みや弱みを見極め、相手国のニーズも的確に把握した上で政策を進めていく方針だ。
