先端建設技術センター(五道仁実理事長)は23日、東京都千代田区の星陵会館でフィジカルAI(人工知能)をテーマとしたパネルディスカッションを開いた=写真。建設現場の生産性や安全性の向上が期待できるフィジカルAIの社会実装に向け、各社が協力する協調領域の在り方などを議論した。登壇者からは安全ルールの策定や人材育成を協調領域として進める提案が寄せられた。
パネルディスカッションは2026年度先端建設技術セミナーの一環で開いた。「共創」と「実装」をキーワードに、フィジカルAIの社会実装に向けた環境整備や協調領域について産学官の識者が意見を交わした。
大林組の山口貴志土木本部先端技術推進室室長は、「単なる省人化でなく、認識、判断、行動、学習を一体で高度化することがフィジカルAIの本質だ」と指摘。各社の取り組みを促すため、総合評価方式などでフィジカルAIに関する取り組みを評価する仕組みを提案した。
西松建設の山下雅之技術研究所所長は、現場の安全に関する法令整備の検討や人材育成などを協調して進めることを求めた。研究開発に当たり各社のデータを共有する上でのルール整備も重要とした。
建設機械の遠隔操作や自動化を可能にするサービスを提供するARAVの白久レイエス樹代表取締役は、ICT建機ユーザーの増加に伴いエンジニアが不足傾向にあるとし、「業界全体で協調してエンジニアを育てていく必要がある」と強調した。
千葉工業大学の吉田智章未来ロボット技術研究センター副所長は、建設現場は人や空間の管理がしやすいため、運用側とロボット側でルールを擦り合わせて実装ができると分析し、「(実装は)一般向けロボットよりもはるかに有利ではないか」との認識を示した。
国土交通省の高橋伸輔官房参事官(イノベーション)は、産官学のコンソーシアムに設けるプロジェクトチームで実装に向けた議論を加速させると表明。直轄現場を実証フィールドに活用しながら実用化を進めるとし、「国内企業が世界に打って出られるようにしていきたい」と力を込めた。
