前田建設は、シールドトンネル工事で使用するセグメントを地上から切り羽まで自動搬送するシステムを開発した。複数の搬送設備を統合制御し、設備間の受け渡しを含む搬送工程を全自動化する。大断面シールド工事で実証運用を始めており、2027年度からの本格導入を予定している。
シールド工事の長距離化、大深度化、高速化が進む中、資機材を効率的かつ確実に供給する物流システムの重要性が高まっている。セグメント搬送には多くの作業員や設備が関わるため、担い手不足を見据えた省人・省力化と安全性向上が課題だ。
新システムは、地上から切り羽までの搬送設備を自動連携させ、必要な作業人員を減らすことに加え、設備周辺への作業員の立ち入りを抑え、搬送・受け渡し時の重量物との接触リスクを低減する。自動制御によりオペレーターの経験や熟練度に左右されない安定した搬送にもつなげる。
坑内の搬送車にはタイヤ式車両を採用した。従来のレール式より高速で、積荷時は時速15㎞、空荷時は同20㎞で搬送可能だ。枕木やレールの敷設作業も省略できる。
セグメントには、工場出荷時に固有の識別情報を持つAR(拡張現実)マーカーを貼り付け、現場搬入時に読み取って受け入れ検品と搬送指示を自動で行う。搬送経路の要所に設置した定点カメラで画像認識し、検品や誤搬送の防止に活用する。
中央管理室では、各搬送設備の稼働状況や警報、セグメントの位置をリアルタイムで一元管理する。位置情報や搬送履歴を記録し、施工管理の効率化や履歴を追跡するトレーサビリティーの向上にもつなげていく。
今後は、実運用を通じて搬送ロジックや設備制御を最適化し、搬送サイクルの短縮を図る。中小口径シールド工事への部分適用など、施工条件に応じた展開も検討する。
