都道府県・政令市24年度予算案/一般会計減も普建費増/災害復旧対応公共施設更新 事業費増大に対応急務 | 建設通信新聞Digital

5月10日 金曜日

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都道府県・政令市24年度予算案/一般会計減も普建費増/災害復旧対応公共施設更新 事業費増大に対応急務

都道府県の2024年度予算案(単位・億円、伸び率・%)
*は骨格予算。石川県は骨格的予算。東京都の普通建設事業費は投資的経費
 都道府県と政令市の2024年度予算案が出そろった。都道府県の一般会計総額は前年度比1.0%減の57兆9432億円となった一方で、普通建設事業費は8.0%増の7兆1412億円となった。政令市の一般会計総額は、軒並み過去最大を更新し、2.0%増の16兆4158億円で、普通建設事業費も26.8%増の2兆1170億円となった。各都道府県・政令市とも、災害復旧や公共施設の保全・更新などの事業が積み重なっており、増大する事業に対応する体制の構築が急務となっている。 都道府県で前年比増となったのは6都県のみ。一方で、普通建設事業費は、29都道府県が増加した。特に災害復旧事業費は、160.6%増の9137億円となった。骨格的予算を組んだ石川県が5629億円を計上して大幅増となり、一般会計予算も初めて1兆円を超えた。能登半島地震からの迅速な復旧・復興に向け、新潟県も244.5%増の170億円を計上した。東北では、22年7、8月の豪雨災害の復旧事業が進捗(しんちょく)した宮城、山形の両県が減少した一方、秋田県は本格復旧が始まり大幅に増加する。愛知や和歌山、鳥取などは、23年の台風7号による普及事業で大幅増となった。
 直接的な被災自治体だけでなく、能登半島地震や激甚化する豪雨災害などに備える動きも再び強まっている。東京都が「TOKYO強靱化プロジェクト」に7609億円を計上したのを筆頭に、群馬県は新規で地震被害想定調査や防災・減災対策を加速化、埼玉県は特定都市河川に指定予定の河川流域治水対策を進め、長野県は地震防災対策を強化するなどに取り組む。
 公共施設が更新期に当たる自治体も多い。千葉県が県立学校や千葉県文化会館など県有施設の長寿命化対策を進めるなど、学校や病院、庁舎の改築などを計上する県が多い。
 政令市も同様に、防災対策や公共施設更新が積み重なる。札幌市は除雪関連費が過去最大を記録。横浜市は能登半島地震を受けて地震防災対策を強化し、相模原市は公共施設の長寿命化対策が普通建設事業費を押し上げた。
 公共施設の老朽化が進み、更新期を本格的に迎える中で、都道府県・政令市とも災害復旧・防災対策、長寿命化対策、更新・維持保全など事業費が増加する傾向は今後も続く。ただ、職員の人材難は地方自治体も悩みの種で、40年代までに総額17兆円規模の事業費を「TOKYO強靱化プロジェクト」に投じる東京都も含め、DX(デジタルトランスフォーメーション)などによる業務の効率化、民間活用による主要業務への人材の集中など、組織・体制改革が急務となっている。