「クイックラップ」愛媛で初採用/クイックデッキライト併用で相乗効果/日綜産業 | 建設通信新聞Digital

4月28日 日曜日

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「クイックラップ」愛媛で初採用/クイックデッキライト併用で相乗効果/日綜産業

仮設したクイックデッキライト。内部のつりチェーンや床面はクイックラップで密封
 日綜産業が提供する養生シート「クイックラップ」が愛媛県内で初適用された。塗装作業時に足場内部で発生した有害物質や汚染水の外部拡散を防ぐ。四国で採用実績を伸ばしている「クイックデッキライト(QDL)」とともに安全・快適な作業空間に寄与する製品として注目を集める。老朽化施設や構造物のメンテナンス市場が拡大する一方、職人不足は深刻化を増す。こうした課題解決に一役買いそうだ。 両工法が採用された現場は、愛媛県が発注した「伊予松山港線橋りょう補修工事」。橋長32.5mの新川橋の塗り替え塗装で、銀岡塗装店(松山市)が施工している。海抜が低く、橋の直下を川が流れるため、作業スペースは高さ800mm程度しか確保できない。ブラスト処理は台車に乗ったままあおむけでの姿勢を強いられる。銀岡塗装店の銀岡聡明社長は「隙間や段差をなくした作業床の安定性にメリットを感じた」とQDL採用の理由を挙げる。
 QDLは、先行床施工式フロア型システムつり足場「クイックデッキ」の特徴はそのままに、ウッドデッキパネル1枚の重さを3分の1程度に抑えた軽量モデル。人による運搬・施工も可能で、コスト縮減に寄与する。つりチェーンの間隔が2.5mあることで、つりピースの溶接回数も減り、躯体へのダメージが少ない。県担当者も「凹凸がなく、安全性は高い。危険で狭い場所で今後採用が増えれば」と好評だ。
 一方のクイックラップは、加熱することで養生シート同士を溶着し、床面・壁面を1枚のシートで覆うことができる製品。複雑な形状にも対応可能で、従来のコンパネによる板張り防護工の課題を解決する。クイックデッキと併用すれば、より効率性が高まる。飛散防止機能に優れており、周辺住宅から苦情は一切ないという。銀岡社長は「台風など強風時は、切り込みを入れることで風を通し、治まった後は溶着すれば良い」と使い勝手を評価する。
 橋梁のメンテナンスは、これまで整備局やNEXCOが管理する比較的規模が大きな現場が対象だった。今後は自治体の小規模橋梁でも増えてくる。日綜産業は「職人不足の中、こうした工法が一つのきっかけになるのはないか」と期待を寄せる。