進化する建設業 親子で体験/安芸市でDX参観日/若手集め現場見学も/整備局 | 建設通信新聞Digital

4月29日 月曜日

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進化する建設業 親子で体験/安芸市でDX参観日/若手集め現場見学も/整備局

普段から使い慣れたタブレットやスマホで簡単に配筋検査や測量ができる技術に驚く参加者たち。高所作業車からの玉入れはチーム戦で競った
 四国地方整備局が全国の整備局で唯一取り組んでいる「インフラDX(デジタルトランスフォーメーション)モデル工事」。この現場をフィールドに2022年度から始めた取り組みが「建設DX参観日」と「インフラDXモデル工事現場見学会」だ。同局は1日、高知県安芸市の橋梁下部工で両イベントを開いた。23年3月の愛媛県今治市に続き、2回目となる。小学生とその保護者や地元建設業の若手社員が参加した。進化する建設業界に触れ、驚きと発見にあふれた一日となった。 今回の現場は、「令和5-6年度南国安芸道路赤野高架橋下部P26、P28工事」。ジョウトク建設が施工している。インフラDXモデル工事の試行には、日本建設業連合会の技術協力があった。同工事では日建連が発行する『建設DX事例集』から四国建設青年会議の会員アンケートで“使ってみたい”技術を導入している。今回は鹿島の「AI(人工知能)配筋検査システム」と不動テトラの「点群データを活用した構造物の施工管理」が選定された。
 DX参観日と銘打った午前のイベントには、地元・井ノ口小学校の6年生とその保護者約30人が参加した。ゲーム感覚で操作するドローン飛行シミュレーターやスマホに映される座標を頼りに地面に埋まった宝を探すなど、工夫満載のメニューとなった。児童・保護者を前に、和田耕治土佐国道事務所副所長や大野昌仁日建連常務があいさつしたほか、ジョウトク建設の常徳和也社長が「新しい技術を見て触って、何かを感じてほしい」と述べた。
 AI配筋検査システムのブースでは、写真に写り込んだ参加児童の足の長さまで表示された時には、性能の高さに歓声が上がった。父親が地元で建設業を経営しているという児童は「お父さんの仕事が何となく分かった。手伝うことができそう」とうれしそうな笑顔を見せた。
 保護者にも“建設業の今”を知ってもらうことが参観日の目的の一つ。「建設業は体力仕事のイメージが強かった。頭脳だけで勝負できるまで進化していることを聞き、参考になった。子どもがこの道を志すなら応援したい」と反応は上々だ。主催者の成田学土佐国道事務所工務係長は「笑顔にあふれ、保護者も一緒に楽しまれていたのが良かった。小さい頃から建設業に興味を持ってもらい、将来の担い手確保につながれば」とコメントした。

【現場展開へのヒントつかむ】
 午後の「モデル工事現場見学会」には、豚座建設や入交建設、ジョウトク建設、白石建設工業、福留開発など地域建設業13社のほか、高知県職員ら多数が参加した。DXの日常使いから現場展開へのヒントを得ようと、積極的に機器を手にする場面が見られた。豚座建設で建設ディレクターを務める中野新さん(入社2年目)もその一人。同社の宮本美咲さん(1月入社)とともにLiDAR(レーザー式測距装置)を体験。普段は書類整理やICTを通じて現場をサポートする立場だが、「かざすだけなので、簡単に点群が取れることが想像できた」と生産性向上のメリットに気付いた様子だった。濱田向啓整備局企画部建設情報・施工高度化技術調整官は「四国各地から参加いただき、関心の高さを感じる。見学会が新4K(給与・休暇・希望・かっこいい)につながるを場になることを期待する」とした。次回は徳島県内で実施予定だ。