より強靱な施設へ進化/利根導水路大規模地震対策/水機構が完工式 | 建設通信新聞Digital

4月28日 日曜日

関東・甲信越

より強靱な施設へ進化/利根導水路大規模地震対策/水機構が完工式

金尾理事長
 水資源機構利根導水総合事業所が、2014年度から進めてきた「利根導水路大規模地震対策事業」が、3月末に完了する見込みだ。完了に先立ち同機構は9日、埼玉県行田市の教育文化センター「みらい」文化ホールで完工式を開いた=写真。来賓、随行者含め約110人が参加した。
 この事業は、首都直下型の大規模地震(マグニチュード7クラス)の発生に備えるため、利根大堰のほか、埼玉玉合口二期施設、秋ヶ瀬取水堰、朝霞水路の各施設を対象に、10年間に事業費約297億円をかけて進められてきた。
 利根導水路施設は群馬県、埼玉県、東京都への水道用水、群馬県、埼玉県への農業用水、埼玉県内4市への工業用水などを供給している。24年度上期には総取水量が1000億m3に達する見込みとなっている。震度6強以上の地震が発生した場合、取水や導水に致命的な影響を及ぼす可能性があるため、事前に地震対策が必要な施設の補強などの対策を進めてきた。
 完工式で、水機構の金尾健司理事長は「本事業による耐震性能の向上をもって、『より強靱な施設へと進化』した利根導水路として管理運用を開始する。引き続き、皆さまの安全・安心で快適な生活に役立つよう、また、将来にわたり、首都圏の生活や産業を支える重要な水のライフラインとして一層貢献できるよう、職員一丸となって適切な管理に向けて精進する」とあいさつした。
 来賓あいさつでは、鳥井陽一厚生労働省健康・生活衛生局審議官が武見敬三大臣、青山健治農林水産省農林振興局次長が坂本哲志大臣、新井薫群馬県地域創生部長が山本一太知事のメッセージをそれぞれ代読した。
 続いて、大野元裕埼玉県知事が「農業用水、水道用水、工業用水と、多目的に水利用を行っている本県にとっては、将来にわたる水供給の安心が図られることとなった」、小池百合子東京都知事が「都市インフラの強靱化が図られ、大規模地震が発生しても東京を含む首都圏に安定的に水が供給されることに、心から感謝申し上げ、心強く思う」と述べた。
 その後、利根導水総合事務所の羽田野義勝所長の事業経過報告に続き、関係者によるくす玉開披が行われた。