日建連、全建、全中建、建専連/「土日一斉閉所」へ全国運動 | 建設通信新聞Digital

4月28日 日曜日

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日建連、全建、全中建、建専連/「土日一斉閉所」へ全国運動

閉所運動に共同で取り組む(左から)土志田全中建会長、宮本日建連会長、奥村全建会長、岩田建専連会長
【建設業4団体が初タッグ/“当たり前”に踏み出す時】
 日本建設業連合会(宮本洋一会長)、全国建設業協会(奥村太加典会長)、全国中小建設業協会(土志田領司会長)、建設産業専門団体連合会(岩田正吾会長)の全国規模の建設業4団体は、建設現場の土日閉所の“当たり前化”に向けたキャンペーン運動を展開する。4月から建設業に適用される時間外労働の罰則付き上限規制や、年々深刻化する担い手の確保・定着といった重要課題に対峙(たいじ)し、業界内外の理解獲得や機運醸成を図るのが願い。4団体が一つの取り組みを推進するためにタッグを組むのは初めて。 取り組みは「目指せ!建設現場 土日一斉閉所」運動。大手・中小、元請け・下請けを問わず、業界を挙げて土日閉所の拡大、定着を目指す。8日に首相官邸で開かれた岸田文雄首相や斉藤鉄夫国土交通相などと4団体との意見交換会でも、キャンペーン運動の一端を披露した。
 高齢化に伴う技能者の大量退職、少子化に伴う若年労働者の激しい人材獲得競争の中、建設産業での週休2日、とりわけ土日閉所の定着は喫緊の課題となっている。上限規制の適用を踏まえれば、土曜勤務は全てが時間外に該当することから、土曜休みは規制クリアへの土台とも言える。
 4団体はまず、土日一斉閉所キャラクター『やすみん』を使った普及啓発ポスターを作成した。関係各所に配布し、受発注者双方の関係者の意識を高める。
 土日閉所の実現や定着には、発注者の理解が不可欠なことから、発注機関などにも協力を依頼した。国土交通、厚生労働、総務各省と全国知事会、全国市長会、全国町村会、経団連、日本商工会議所がキャンペーン運動の後援者に名を連ねる予定。今後は、発注者や発注者団体への要請活動なども行う見通しだ。
 キャンペーンは、全国運動と地域運動の二段構えとなる。都道府県建設業協会などの参画を見込む地域運動は、より実効性の高い県単位や市町村単位での活動を想定する。地域の実情に応じて、 「まずは公共工事から」「民間も含む全工事で」といった目標を立て、 全国各地で行動を起こす。各県の労働局が主導する建設業関係労働時間削減推進協議会の場なども活用し、地域運動の中身を詰める。
 各業界団体はこれまでも、それぞれに週休2日や土日閉所の推進に取り組んできた。日建連は従来方針のとおり、官民を問わず、全ての工事現場で4週8閉所や完全週休2日を推進する。上限規制を目前に控えた業界一丸の閉所運動の開始によって、休日確保の取り組みをてこ入れする。
 全中建は、まだまだ週休2日制が少ない市町村発注工事への好影響を期待する。建専連は、休日増加に伴う日給月給制の技能者の収入維持という大きな課題はあるものの、業界を挙げた運動は技能者一人ひとりの意識変化にもつながるとみる。何よりも、若年技能者の採用に効果的と考えている。
 全建の山崎篤男専務理事は「建設業はかつて日曜日も働いていたが、どこかのタイミングで業界が踏み切った結果、今では日曜休みは当たり前になっている。上限規制や担い手確保を踏まえると、今が土日休みの定着に踏み切る時だ」と強調した。特に若者にとっては「予定の立てられる土日休みが重要」とも指摘した。
 土日閉所は、掛け声だけでは実現できない。発注者理解の下、休日の増加分などを見込んだ適正な工期の設定やコストの確保が不可欠だ。一斉閉所運動の展開に当たっては、民間建築工事で4週8閉所・週40時間稼働を原則とした初回見積書を提出する日建連の「適正工期確保宣言」や、全ての工事で中央建設業審議会が作成・勧告した「工期に関する基準」に沿った見積もり提出を徹底する全建の「適正工期見積り運動」など、既に取り組んでいる関連施策も改めて周知する方針だ。