民間に適正工期周知/官民一体で担い手確保/4団体・3発注機関が初会合 | 建設通信新聞Digital

4月30日 火曜日

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民間に適正工期周知/官民一体で担い手確保/4団体・3発注機関が初会合

 日本建設業団体連合会中国支部、広島県建設工業協会、全国中小建設業協会広島県支部、建設産業専門団体中国地区連合会の建設業4団体と中国地方整備局、広島県、広島市の3発注機関による「建設業の担い手確保に向けた広島地区意見交換会」の初会合が3月28日、広島市の中国地方整備局建政部庁舎で開かれた=写真。元請け・下請け団体と発注機関の関係者が一堂に会する意見交換会は全国初の試み。元・下間で何でも言い合えるよう、現場を含めて風通しの良い関係を築いていくことを申し合わせた。また、時間外労働上限規制のスタートを踏まえ、民間工事発注者に対して適正な工期設定を求めていく考えで一致し、次回以降の会合でその方法などについて議論するなど官民で連携していくことを確認した。 冒頭、発注機関を代表してあいさつした中国地方整備局の中崎剛局長が技能者の賃上げ上昇で一致した岸田文雄首相、斉藤鉄夫国土交通相と主要4団体との意見交換会や建設業法と入契法改正法案の閣議決定の話題に触れ、「各団体の皆さんと発注者との相互理解と協力連携が不可欠。忌憚(きたん)のない意見を聞き、持続可能な建設業に向けた取り組みにつながることを期待する」と述べた。
 これを受け、日建連中国支部の中屋亮副支部長が「個別でなく、三つの発注者、四つの団体が集結して意見交換が行えることが有意義なこと。課題は多岐にわたるが問題点を共有して協議していきたい」、広島県建設工業協会の檜山典英会長が「時間外労働上限規制が始まるなど、労働環境が大きく変わろうとしている。担い手確保に向け、官民一体となって取り組んでいきたい」、全中建広島県支部の空久保求支部長が「土木施工管理技士の若年層が大幅に減っており、社会資本の整備、維持管理に影響を及ぼすと危惧している。将来にわたって希望が持てる産業となるよう導いてもらいたい」、建専連の福井正人会長が「他産業と同等またはそれ以上の条件を示していかないと若い人材だけでなく、今いる社員も退場してしまう。処遇改善の実現に向けた有意義な意見交換をしたい」とそれぞれの立場で積極的に議論してく方針を示した。
 キックオフとなった初会合では、時間外労働の上限規制適用による課題を率直に意見交換したい意向が発注者側から示され、適正工期の設定を柱に議論を深めた。国をはじめ、週休2日を見据えた適正な工期設定の取り組みが進む中、「民間発注者に対して、週休2日や時間外労働の上限規制適用に関する周知を図ることが重要」との意見が業界側から示され、局をはじめとする発注者側も「一緒になって周知活動を行っていく」と応えた。
 週休2日導入に関する日給月給の問題についても議論し、業界側からは、労務費アップの継続が重要との認識が示された。一方、今の若い人たちは土日休暇が当たり前になっている中で、「日給月給のままで良いのかということも考えていく必要がある」と強調。理想と現実との間で悩んでいる経営者がいることが改めて浮き彫りとなった。また、工業系の学校に進む生徒が減っている問題についても言及し、「これからは小中学校の生徒や親に対するアピールが必要。魅力発信の観点からも月給制への移行が重要になる」との声も出た。
 そのほか、国交省が今月から実施する「働き方改革の実現に向けた効率的な建設工事の促進事業」について、現場での効率的な施工を促進するためのモデル事業の実施などが紹介された。また、業種別にさらなる取り組みが必要な主要課題の解決に向けた経費を支援する工事の募集に対する協力を呼び掛けた。