日合協 23年度アス合材製造数量/過去最低の3400万t台 | 建設通信新聞Digital

5月12日 日曜日

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日合協 23年度アス合材製造数量/過去最低の3400万t台

23年度の会員製造数量(速報値)
【2年連続で全地区前年割れ】
 日本アスファルト合材協会(今泉保彦会長)が会員企業を対象にまとめた2023年度(23年4月-24年3月累計)のアスファルト合材製造数量(速報値)は、前年度比6.1%減の3449万3061tとなった。数量にして年間約223万tのマイナス。200万t規模の大幅な減少は2年連続で、落ち込みに歯止めが掛からないどころか、悪化度合いは増した。23年度は過去最低を更新し、一気に3500万t台も下回った。日合協会員以外も含めた全体は、この10年間における最低ラインの目安だった年間4000万tを大きく割り、3630万t程度で着地する見通しだ。
 23年度の製造数量の内訳は、主に高速道路や国道といった高規格道路に使われる新規合材が9.4%減の830万0245t、市町村道の新設や補修などに多用される再生合材が5.0%減の2619万2815tとなり、ともに減少した。単月ベースを見ると、前年実績を上回ったのは、わずかに0.1%増となった7月のみで、それ以外は軒並み前年割れとなっている。
 ブロック別の製造数量によると、2年連続で、全国の10地区全てが前年度実績を下回った。北海道と沖縄は4期連続、東北、関東、四国は3期連続の前年度割れ。県別では長野、和歌山、滋賀、福島、宮崎などのマイナス幅が大きくなっている。
 工場の稼働率(1日5時間、月20日稼働で算出した全国の工場能力を製造数量で割った数値)の全国平均は、2.6ポイント下降して33.2%に落ち込み、こちらも過去最低となった。ブロック別で平均を超えたのは、関東(43.8%)と中部(37.8%)の2地区。このほかは30%台前半から20%台で、沖縄に至っては17.9%と2割にも届かない状況が続く。
 全体の5%程度を占めるとされる日合協会員以外の製造数量を合わせた最終実績値の予想によると、23年度の全体数量は約3630万tと見込まれている。最終実績値は15年度以降、4100万-4200万t台で推移し、21年度はかろうじて4000万t台を死守した。しかし、22年度に一気に3880万tまで落ち込み、23年度はさらに減少する。ピーク時(1992年度、8083万t)の半分にも大きく届かない状況となっている。
 日合協の担当者は「製造数量はどんどんシュリンクしている。需要が少ないと、価格転嫁の交渉もしづらい」と経営環境の厳しさを説明する。舗装工事を伴う大型の道路事業が少ないほか、予算総額が増えない中での工事コスト上昇による出来形の減少などが影響しているとみる。担当者は「このままでは、経営が立ち行かなくなる合材工場も出てくるだろう。そうすると、災害時対応で合材を供給することもできなくなり、地域を守れなくなる。政策的なテコ入れが必要だ」と舗装分野への重点配分を訴えている。