【BIM/CIM LIVE 第17回④】サイテックジャパン 川田テクノシステム オートデスク 応用技術 | 建設通信新聞Digital

5月1日 木曜日

B・C・I 未来図

【BIM/CIM LIVE 第17回④】サイテックジャパン 川田テクノシステム オートデスク 応用技術

サイテックジャパン
サポートセンターサービスチームマネジャー兼チームリーダー
石渡 博丈氏

石渡氏

【機械の補正でオペの負担軽減】

 サイテックジャパン・プレミアムショーでは「とどく、近未来」をテーマに、最先端のICT建機や測量機器、そしてそれらをステップアップした近未来のソリューションを実稼働展示しており、今回はその中の近未来ゾーンを紹介する。

 会場では、補正情報が高精度のIBSS(インターネット基地局サービス)を利用し、建機、測量器などと通信している。安定した通信環境が重要なため、Wi-Fi6のローカルネットワークを構築している。

 最初に紹介するのは、3DMC(マシンコントロール)で複雑なブレード操作を自動化したブレードスライド機能搭載のコマツのモーターグレーダーEarthworks仕様機だ。ブレードの移動を自動で制御する機能により、路盤の仕上がり高さが違っても自動で認識し、分けずに施工することができる。横断形状が中折れや皿型でも折れ点をラインとして認識する。

 続いて、コマツのブルドーザーオートステアリング仕様を紹介する。画面上の矢印に沿って操舵をドーザー自身が行う。ブレードと走行、バックや斜面でのあて舵も自動操舵が行う。ドーザーへの指示は、施工データのラインの活用、ポリライン指示、GNSS測量器のウオーキングモードによる現場でのライン設定が可能だ。機械が補正してくれるため、オペレーターの負担が軽減される。

 最後は、住友建機の油圧ショベル自律施工モデル。小型のコントローラーでの遠隔操作も可能だ。溝を床掘するデモンストレーションでは、掘削深さや土砂山の数などを設定するだけで、後は自律で施工を行う。自律施工の基礎は、トリンブルが誇る高精度測位技術だ。

 建機のロボット化に高精度の測位技術は非常に極めて重要となる。そして高度な施工マネジメントソフトやクラウドサービスも必須となる。建機のロボット化を実現し、建設DX(デジタルトランスフォーメーション)へ皆さまと共に邁進したい。


川田テクノシステム
営業本部事業推進部
尾関 祐美子氏

尾関氏

【NG判定のみ修正して再計算】

 川田テクノシステムの『V-nas Clair』シリーズは、3次元の汎用CADをベースに各事業分野に特化した『Kit』シリーズや設計計算システム、情報共有クラウドなどと連携して公共インフラの業務プロセスを大幅に改善する。現在は橋脚・橋台、ボックスカルバート、擁壁、土留め・仮設、樋門・水路の分野で3Dモデルと構造計算を連携しており、3次元設計に活用できる。

 道路排水計画における3次元設計の場合、道路排水計画システム『DRAIN_Kit』を使用すれば、排水施設の3Dモデル作成にとどまらず、設計計算システムなどとの連携により効率よく排水計画を行うことが可能だ。

 3Dモデル上で道路側溝と法面側溝、排水管の区間や形状を選択して水路を配置可能で、部品の形状は自由に変更できる。道路縦断を考慮し、地表面に沿った水路縦断を自動で求める縦断計画機能も搭載している。また、縦断形状を確認しながら排水勾配の調整が行え、桝の配置については道路縦横断勾配や幅員、道路土工要綱で定められた設計桝間隔を考慮しながら自動配置できる。

 また、システム上で水路モデルを選択すると、接続している水路も考慮して一括で流出量・通水量を計算することが可能だ。計算結果から通水判定を実行し、NG判定となった水路のみ修正して再計算を行うこともでき、検討作業を効率化する。

 そのほか、モデル作成と同時に排水系統図や排水縦断図などの2次元図面を自動作成できる。縦断図は、道路の曲線部などを含むリアルな断面形状や配置状態を確認でき、成果物の品質向上、整合確認や図面修正に関する対応コストの削減に貢献する。

 これらのことから、モデル作成だけではなく、計画検討あるいは業務改善のために活用でき、国土交通省が提唱するBIM/CIMの3次元モデルの活用促進へとつながる。


オートデスク
コンストラクション・ソリューション推進本部技術グループ
テクニカルソリューションエグゼクティブ
佐藤 純平氏

佐藤氏

【プロセス俯瞰し全体最適化】

 建設業界では人手不足や労働時間規制の中で、業務効率化と品質維持・向上が求められているが、従来のDXのアプローチは、部分最適化にすぎず、大きな経営インパクトを生み出すことができていない。全体最適を実現するには、業務プロセス全体を俯瞰し、根本的な課題を特定する必要がある。

 全体最適を実現するための主流は、統合プラットフォームを中核としたエコシステムであり、『Autodesk Construction Cloud』(ACC)は、建設プロジェクトのワークプレイスとして位置づけられている。

 ACCでは設計・施工管理業務の包括的なデジタル化、コミュニケーションの統合、情報共有を一元的に行うことができ、業務プロセスの全体最適が可能となる。

 ACCには、データ管理機能を持つクラウドストレージ「Autodesk Docs」、ACCの中核機能であり、ミーティングや指摘事項、検査フォーム、資材管理、コストマネジメントなどプロジェクトのあらゆる段階で活用が可能な「Build」、デザインレビューや干渉チェックを行う「BIM(スペース挿入)Collaborate」、2次元の図面やBIMモデルを用いて積算業務を支援する「Takeoff」などのソフトウェアが含まれている。

 裏ではすべてのデータが一元的に管理されているので、全ての業務が一貫性を持って繋がり、業務プロセスの断絶が一切ないのがメリットだ。これらの機能により、業務効率化、品質向上、BIMの民主化、データ活用の促進が期待できる。

 実際にACCを導入した大手ゼネコンでは、図面レビュー業務で75%、会議準備業務で90%、現場検査業務で90%の工数削減に成功している事例もある。

 全国の多くの現場では、これらの業務に膨大な工数を割いているため、ACCの導入によりかなりの経営インパクトが期待できる。


応用技術
DX事業統括カスタマーサクセスグループ主任
片山 高嗣氏

片山氏

【点検コストと帳票作成も削減】

 Reconstruct(リコンストラクト)は、米国・カリフォルニア州に本社を置くリコンストラクト社が開発したもので、現場の可視化、進捗管理、プロジェクト全体の管理を効率化するためのソリューションである。施工の進捗管理での活用がメインだが、土木の点検管理業務のために拡張された機能も提供されており、本講演では点検管理の機能を中心に紹介する。

 建設業界のさまざまなシーンでDXが推進されている中で、維持管理の分野においても、今後点検の従事者が減少していくことが予想され、従来の方法では維持管理業務を継続的に実施していくことは難しくなるため、IT技術を駆使し、これまでのやり方を抜本的に見直し、業務効率を上げることが求められている。Reconstructは橋梁をターゲットとし、従来の橋梁点検における業務課題を本ツールで解消することを目指している。

 橋梁の点検業務はひび割れなどの変状を目視で確認するが、高所作業が多く、作業に危険が伴う。また、点検業務を実施するための交通規制も煩雑である。図面が残っていない橋梁の場合は一から作成する必要があり、帳票作成にも時間がかかることが多い。Reconstructを活用すれば、高所や危険な場所のデータ取得を容易にし、かつ点検の速度を向上させて点検コストを減らしなおかつ帳票作成も短時間で行うことが可能である。

 360度カメラやドローンを用いて構造物全体を一括で撮影することで、SfM(Structure from Motion)の技術を使って、3次元点群データを生成する。点群データを用いて橋梁の展開図を生成させ、国土交通省の点検調書に即した帳票を半自動で作成できる。また、Reconstructで提供されているViewerを介して取得したデータからひび割れやコンクリートの剥離箇所といった、変状の長さや面積など簡単な計測作業を簡単に行うことができ、現場の作業や内業の大幅な省力化を実現する。




【11日に18回セミナー/HPで受付スタート】
日刊建設通信新聞社は10月11日午後1時から、ウェブセミナー「BIM/CIM LIVE」の第18回を開催します。聴講は無料ですが、事前の参加登録が必要となります。当社ホームページよりお申し込みください。

主催:日刊建設通信新聞社
共催:土木学会土木情報学委員会、NPOグリーンアース、北海道産学官研究フォーラム
後援:国土交通省、日本建設情報総合センター
建設コンサルタンツ協会
日本建設業連合会



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