【BIM/CIM LIVE 第17回①】国土交通省 自動施工の安全ルールを現場試行/最終的に3次元モデル標準化 | 建設通信新聞Digital

5月1日 木曜日

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【BIM/CIM LIVE 第17回①】国土交通省 自動施工の安全ルールを現場試行/最終的に3次元モデル標準化

BIM/CIM出発点に データマネジメント時代
 日刊建設通信新聞社は、国土交通省が先導するBIM/CIMの最前線を通し、建設産業が進むべき3次元データ活用の方向性を探るウェブセミナー「BIM/CIM LIVE」の第17回を2024年7月に開いた。国交省がBIM/CIM原則適用に加え、建設現場のオートメーション化に向けてi-Construction2.0を打ち出す中、データマネジメントの時代が進展しつつある。セミナーには1500人を超える申し込みがあった。各講演のポイントをまとめた。

 第17回セミナーでは、国土交通省大臣官房参事官(イノベーション)グループの桝谷有吾企画専門官がi-Construction2.0の方向性を解説したほか、TISがオープンAPIをテーマに講演した。このほか大日本ダイヤコンサルタントによるBIM/CIM原則化適用へのポイントとともに、鴻池組が開発した四足ロボットの取り組みも紹介された。また、サイテックジャパン、オートデスク、川田テクノシステム、応用技術の4社が最新のデジタルソリューション事例を紹介した。

国土交通省
大臣官房参事官(イノベーション)グループ企画専門官
桝谷 有吾氏

桝谷氏

 4月に国土交通大臣から発表された「i-Constructio2.0」は、これまでのICTの活用による支援から、自動化、省人化を目指そうとするもので、施工のオートメーション化、データ連携のオートメーション化、施工管理のオートメーション化を3つの柱としている。

 i-Constructionは2016年から取り組みをはじめ、25年度までに建設現場の生産性を2割向上させる方針が示され、ICT施工などを中心に進めてきた。

 2.0で目指す社会では、無人化施工や遠隔操作、AIによる工程・安全管理などをイメージしており、40年度までに少なくとも省人化3割、すなわち1.5倍の生産性向上を目標としている。これにより建設現場で人的被害が生じるリスクの低減、働き方改革などが進み、新3Kも実現できていくのではないかと考えている。

 建設現場のオートメーション化は、施工、データ連携、施工管理に分けて取り組みを進めていく。自動施工の現場実装・技術開発を促進するための基盤整備として、今年度は、昨年度に作成した自動施工の安全ルールを現場で試行していくほか、土木研究所の研究開発用プラットフォーム「自律施工技術基盤 OPERA」を活用し、異なるメーカーの建設機械についてもユーザーが同じプログラムで動作させられる共通制御信号の策定に向けた共同研究を実施していく。また、オペレータが建設機械に搭乗せずに操作する遠隔施工は、災害対策時以外の施工現場への試行工事を行う。

 施工のオートメーション化に向けては、機械施工を中心に、自動施工と遠隔施工の活用拡大、施工データ活用のためのデータ共有基盤の整備に取り組む。施工データ集約・活用の共通データ環境を整備するとともに、共通ルールを策定し、施工データの連係を図る技術開発を促進していく。今年度は施工データ活用の効果を検証する試行工事を実施する。自動施工は海上工事にも広げたいと考えており、港湾局を中心に作業船の自動・自律化を検討をしていく。

 直轄工事ではICT土工の取り組みが進んでおり、この状況を踏まえ、まずは土工からICT施工を原則化するが、ほかの工種についても順次原則化していきたい。

 データ連携のオートメーション化はBIM/CIMを使ってデジタルデータを最大限活用したいと考えており、3Dデータの標準化、デジタルツインやデータ共有基盤整備も進めていく。

 23年度からBIM/CIM原則適用となったことで3次元モデルの活用を本格的に開始しているが、現状では2次元設計を行った後に3次元モデルを作成しており、まだ2次元が契約図書となっているため、抜本的な効率化に繋がっていない。

 取り組みやすさは工種によって異なるので、どういったところからやっていくかはこれから議論・検討し、最終的に3次元モデルを標準化できるようにしたい。

 また、デジタルデータを後工程で活用することも課題となる。設計データ作成時の属性情報を積算で活用し、半自動的に積算できるようにすることや、ICT建機や工場製作での活用も実現していきたい。

 複雑な工事ではシミュレーションの実施、AR・VRの活用が行われているが、デジタルツインを実施する場合に国土交通データプラットフォームとの連携でシミュレーションが簡単に実施できるというようにもしたい。

 施工管理のオートメーション化は、監督・検査の部分をリモート化し、高速ネットワーク整備やプレキャストの活用促進などが課題だ。直轄工事では22年度から検査以外で遠隔臨場を実施しているが、今年度からは工事検査も含めて原則化している。例えば配筋検査でデジタルカメラの撮影画像の解析で出来型確認するなど、便利なツールを使える環境整備にも重要だ。

 また、大容量データを円滑に利用できるよう、河川道路管理用光ファイバを活用し、日本全国を100Gbpsの高速・大容量回線で接続し、高速ネットワーク環境を末端まで整備するほか、ロボットによるリモート検査なども取り組んでいく。

 今後も新技術を積極的に取り入れ、過度に経済性に偏重することなく、必要な技術を活用できる環境を整備していきたいと考えている。

i-Construction2.0で実現を目指す社会(イメージ)




【11日に18回セミナー/HPで受付スタート】
日刊建設通信新聞社は10月11日午後1時から、ウェブセミナー「BIM/CIM LIVE」の第18回を開催します。聴講は無料ですが、事前の参加登録が必要となります。当社ホームページよりお申し込みください。

主催:日刊建設通信新聞社
共催:土木学会土木情報学委員会、NPOグリーンアース、北海道産学官研究フォーラム
後援:国土交通省、日本建設情報総合センター
建設コンサルタンツ協会
日本建設業連合会



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