【大正製薬】現場の熱中症対策に「使い分け」提案 | 建設通信新聞Digital

5月1日 木曜日

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【大正製薬】現場の熱中症対策に「使い分け」提案

樋口氏(左)、秋吉氏と、『リポビタンアイススラリー Sports』


 大正製薬は、熱中症対策の商品によるBtoB向け事業の拡大を目指す。売上目標は、2025年度が24年度比2-3倍、27年度は同5倍に設定。市場環境について、「他業界と比べて建設業からの引き合いは既に多い。しかしアプローチの余地がまだ残っている」とマーケティング本部ブランドマネジメント1部飲料グループの樋口裕貴氏は分析する。多様なラインアップを武器に、市場へのさらなる浸透を図る。

◇1社数十万個の注文も
 同社は従来、疲労に対するアプローチを中心に『リポビタン』ブランドのドリンク剤などを展開してきた。近年は熱中症への社会的関心が高まっており、それに応じて熱中症対策商品を追加した。

『リポビタンウォーター』10袋入りの箱。1袋(5.4g)を500ミリリットルの水に溶かすと、100ミリリットル当たり2.6キロカロリーとなる


 商品の開発・発売当初は、スポーツ愛好家などのBtoC需要を主に意識していたが、21、22年ごろから、BtoBでも熱中症対策への関心が徐々に高まり始めたという。建設業界からは「安全大会などで、熱中症対策の講話を当社に依頼する社数が年々増えている」(樋口氏)ことに手応えを感じ、このほか調査なども合わせてBtoB需要の可能性を認識。従来の販路に加えて24年春にBtoB向けの窓口を新設するなど、拡販に向け体制を整備している。
 現在のBtoB向けの売り上げのうち、建設業向けは5割弱を占める。多くの注文は3-9月の間に入り、大口の注文では1社・1シーズンで数十万個に達する。建設業のほか製造業、運送業、プロスポーツやエンターテインメント業界などからの注文がある。

◇「使い分け」を広める
 大幅な売り上げ増の目標を掲げた背景に、まだ訴求できていない潜在需要が眠っているとの考えがある。「熱中症対策はスポーツ飲料だけでよい、という見方もある。しかし当社は異なるタイプの商品をそろえており、場面に合わせた『使い分け』でより良い対策ができる」と商品開発部の秋吉克昂主任は語る。こうした認識を広めることが、需要開拓の鍵となる。

『リポビタンゼリー』のカロリーは180キロカロリーで、おにぎり1個程度に相当する。ほかにビタミンB1、B2、B6などを含む


 例えばパウダータイプで水に溶かして飲む『リポビタンウォーター』はカロリーの低さがポイントの一つだ。現場ではスポーツ飲料によるカロリー摂取過多を懸念して水やお茶を代わりに飲み、熱中症対策が不十分になってしまう場合があるが、こうした懸念を軽減する。厚生労働省は各種ガイドで100ミリリットル当たり食塩相当量0・1-0・2ミリ程度の飲料を30分ごとに200ミリリットルほど摂取することを呼び掛けており、現場での作業の合間などでの飲用を想定する。
 逆に、夏は食欲が減退してカロリーなど栄養素が不足しがちな人が増え、いわゆる夏バテなど体調不良の原因にもなる。これに対しては、ゼリー飲料の『リポビタンゼリー』など、食欲が減退している人でも摂取しやすく、熱中症対策成分と一定の栄養素を共に含む商品を提案する。

『リポビタンアイススラリー Sports』は冷凍庫で4時間以上凍らせた後15-20分ほど常温に置き、もみほぐして飲む


 『リポビタンアイススラリー Sports』は、凍らせるとアイススラリー(細かい氷の粒子が液体に分散した状態)になる飲料だ。この形状により素早く冷感をもたらす。休憩スペースなどで凍らせておくことで、休憩をより快適にするなどの用途に適する。類似商品にはアイススラリー化させるため一定の食物繊維を含むものもあるが、同商品は消化器への負担に配慮し食物繊維の量を減らしている。
 「熱中症対策」と表示できる商品の基準は、全国清涼飲料連合会がガイドラインにより定めている。同社はその基準を満たしつつ、建設現場などのより細やかなニーズに応える商品ラインアップをそろえることで、他社との差別化をさらに進める。

 

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