東京都交通局は、2021年の地震によって発生した日暮里・舎人ライナー舎人公園駅構内での脱輪事故を受けた対策措置を「実施計画書」としてまとめた。揺れによる構造物の変位低減のためのダンパーを柱と梁(はり)の間に設置するほか、分岐輪が浮き上がった際の脱輪防止対策として、分岐輪を拘束する固定案内板を追加設置する。ダンパーは28年度、固定案内板は26年度中の設置完了を目指す。
地震は、21年10月に千葉県北西部を震源として発生。都内では最大震度5強を観測した。
同駅構内では、当該車両が大きく揺すられたことにより、1両目前台車右側の分岐輪が案内軌条に乗り上げ脱落した後、バランスが傾いた左側分岐輪が固定案内板の外側に逸脱した。
運輸委員会からの勧告を受けて提出した実施計画書によると、事故の主な原因には、現場付近の地盤の揺れやすさ、現場付近構造物と車両の固有振動数の近似、構造物の回転が車両のローリングを助長したことを挙げた。
同局はこれを踏まえ、事故現場付近の5本の柱で、梁との間に構造物の回転変位・進路直交方向変位の低減を図るダンパーを設置する。設置位置は外部専門機関などの検討・設計により決定する。
さらに、分岐輪の水平移動・進行方向を維持するための固定案内板を事故現場付近の走行路に追加設置する方針を明記したほか、23年3月に改定した異常時対応マニュアルに示した停電後の手順や避難方法の再整理についても報告した。