【BIM2025⑨】Hexagon 重工業系軸に「産業BIM」展開/運用までをオーダーメイド提案 | 建設通信新聞Digital

7月17日 木曜日

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【BIM2025⑨】Hexagon 重工業系軸に「産業BIM」展開/運用までをオーダーメイド提案

世界50カ国以上でデジタルリアリティソリューションを展開するHexagonが、「産業BIM」の提案に乗り出した。同社の山内重樹インダストリーコンサルタントは「設備機器や配管の情報モデルを建物モデルと組み合わせ、保有する40以上ものツールの中から、最適な事業環境を創出する。オーダーメイドの提案力が当社の強み」と強調する。産業BIMのターゲットとはどこか。同社の事業戦略を追った。

山内氏(左)と八木氏


産業BIMは、同社がセンサー、ソフトウェア、自律制御技術などを組み合わせたデジタルリアリティソリューションを展開する中で、主力のプラント系プロジェクトで培った3次元データ活用のノウハウやツールを、重工系プロジェクトに集約したものだ。2年前からグローバル戦略として提案を始めた。

既に海外では大型プロジェクトを中心に設計から施工、維持管理までを一貫してソリューション提案する事例が出てきており、日本でもゼネコンのエンジニアリング部門を中心に提案を本格化している。国内のターゲットに位置づけるのは重工業系に加え、医薬品、食品、半導体の工場など多岐にわたる。

ライフサイクルを通して40以上のツールを保有


オフィスやマンションなどを対象とした建築BIMと違い、産業BIMは建物内に複雑に配置される設備機器や配管などの現場搬入から据え付け、竣工後の運転、維持管理までを幅広く支援する。山内氏は「設備機器や配管類の収まり確認に加え、各ツール間でのデータの整合性確認をしながら、同時に施工安全性も管理することが、産業BIMの流れになる」と強調する。

スペックベースの設計により、資材関連の情報すべてが連携するほか、データセントリックな設計ソリューションと、それらを用いた協調設計や成果物の自動作成も可能だ。建築主への設計成果もモデルや図面、データが適切に関連付けられたデジタルツインとして提供される。

同社では、計画から設計、施工までのデジタルプロジェクト領域と、建物完成後の運転・保全までのデジタルアセット領域を通して、40以上ものソリューションを保有している。設計系では配管CADや解析ツールなどを取りそろえているほか、施工系では現場や資材の管理に加え、現場系のプロジェクト支援ツールまで幅広い。

その中でも建物躯体の建築モデルと内部設備機器類の産業モデルを組み合わせた上で、施工時の資材情報や作業スケジュールを3次元モデルに統合して見える化するツール「iConstruct」は、3次元モデルの有効活用と、施工時にダウンタイムを削減することから、サブコンが導入するケースも増えているという。

国内で進行中の大型工場プロジェクトでは、設計から施工、維持管理までを見据えた一気通貫のシステム提案を進めており、日本国内でも一括導入の流れが広がり始めている。八木隆行営業部長は「ライフサイクル全体をつなぐプラットフォームツール『SDx2』も用意しており、クラウド環境下でプロジェクト関係者と密に情報共有する統合管理のニーズにも対応できる」と強調する。

現在、世界的にガス・石油系プラントの建設プロジェクトはやや施設規模が縮小しており、同社は産業BIMの強化によってソリューション提案の領域拡大を進めている。「日本では大型案件を担うゼネコンを中心に提案を強化している。設備性能を見える化しながら安全に施工していく産業BIMの利点を理解してもらい、成功事例を着実に積み上げていきたい」とつけ加える。

同社は、9月に国内外の産業BIM事例を解説するセミナーを予定している。ゼネコン各社は社を挙げてBIM導入に舵を切る動きが拡大しているが、エンジニアリング部門についてはまだBIM導入の方向性が厳密に定まっていない状況もある。両氏は「ぜひとも最新事例に触れ、産業BIMの優位性を理解してほしい」と呼び掛ける。

重工業系を中心に医薬品、食品、半導体の工場などもターゲット



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