専門工事の魅力 肌で感じる
竹中工務店と、その協力会社で構成する東京竹和会は、東京都江東区の東京本店で工業高校建築科の1年生を対象とした「技能体験会」を毎年開催している。東京竹和会の若手経営者で組織する「竹和会ユース」が企画し、体験学習を通して専門工事業の魅力・やりがいを感じてもらうとともに、複数の業種の中から職業選択の幅を広げてもらうのが狙いだ。
今年の体験会は11、12の両日に開かれた。9回目となる今回は、鉄筋、型枠大工、左官、電気設備、タイル、造作・住設、塗装、防水、とび、石、解体の計11種の体験ブースを設けた。11日は都立蔵前工科高校から27人、12日には都立総合工科高校の建築・都市工学科から34人が参加した。
体験会の合間、総合工科高校の生徒は「学校ではできないことを経験したり、使ったことのない器具を使ったり、新しい視点が見つかった」と目を輝かせた。この生徒は母親の影響で建設業に興味を持ち、「建築デザインに携わりたい」と将来像を描く。
とびを経験した別の生徒は、学校で学んだ方法よりもシンプルな方法で足場を組めることが「意外だった」と振り返り、「外で体を動かすことと歴史が好きで、宮大工になりたい」と夢を語った。
「とても楽しい」と笑顔を見せた生徒は「動くことが好きで、チームワークでものづくりをする達成感に引かれて建設業を志した」と明かし、「学校で学べないことができて、就職に対する視野が広がった」と夢をふくらませた。
体験会は先生からも好評だ。稗田岩夫先生は「授業での机上や動画では、職人がいとも簡単に作業をこなしているように見えるが、実際は難しく、そのギャップを分かってもらえる。また、学校では教えられない作業を経験でき、さまざまな職種があることを伝えられる」と話す。
また、担い手確保には保護者の理解も不可欠だとし、「休みが取れることや教育の手厚さなど、建設業のイメージが昔とは異なることを伝えていく」構えだ。実際、昨年から体験会では保護者の見学を受け入れている。
体験会は、今年10月以降から常設化するという。安全訓練、職長講習などを展開するSAT-C(セーフティアクティブトレーニングセンター)のリニューアルオープンに伴い、これまで実施していたVR(仮想現実)教材を使った新規入職者やミドル層向けの体験に加え、技能訓練施設としての機能も持たせる。
常設化に合わせ、体験会の対象を一般や小中学生にも広げたいという。東京竹和会ユースの目黒謙二委員長(目黒建設代表取締役)は「ものづくりの楽しさを教え、知ってもらうことで、建設業の裾野を広げる」と意気込む。「担い手確保委員会」も新設し、担い手とスキルの確保に一層力を入れる。
【工具が身近な少年 とびの道へ/向井建設の加藤純也さん】
総合工科高校の卒業生で、とびの講師として技能体験会に参加した。「祖父が大工で、幼い頃から工具が身近にあり、大工になりたかった」と話す。高校で建築を学ぶうちに、とびの仕事や向井建設のことを知り、とびの道に飛び込んだ。「研修が充実しているほか、細やかな面談などもあり、適性を配慮した職種で働ける。現場の雰囲気も良い」と1年目の感想を述べた。

