AI(人工知能)の急速な進化は、地域建設業の経営に新たな選択を迫っている。人手不足や後継者不足が深刻化する中、AIやDX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性は高まる一方、「何から始めればよいか分からない」と悩む経営者は少なくない。同じ商圏では経営課題を率直に相談しづらい現実もあり、地域を越えて同世代の経営者が切磋琢磨(せっさたくま)し、新たな地域建設企業の姿を模索する動きが広がり始めた。
東京都市大学とクラフトバンク(東京都中央区、韓英志社長)は、文部科学省の「産学連携リ・スキリング・エコシステム構築事業」に採択された「建設業DX/AI変革リーダー育成プログラム」の一環として、地域建設業の次世代経営者や後継候補者を対象とした「建設業事業承継DX/AIコース」を9月に開講する。
プログラムは9月から2027年2月まで全7回実施する。講義やグループワーク、ケーススタディー、現地視察を通じ、BIM/CIMやICT施工、AIを活用した経営改革など、1社だけでは得難い知見を実践的に学ぶ。大手ゼネコンの実務担当者や建設DXの専門家らが講師を務めるほか、受講生同士が継続的に交流できるコミュニティーの形成にも力を入れる。
25年度に実施した第1期には、全国各地の建設会社の経営者ら9人が参加した。受講したマツナガ建設(長野県須坂市)の小林直樹社長は、「多彩な講師による実践的な講義で視野が広がった。業界を変えようとするエネルギーにあふれた人たちと出会えたことも大きな収穫だった」と振り返る。
こうした受講生の評価や成果を踏まえ、今年度は生成AIの活用をカリキュラムに本格的に組み込み、内容をさらに充実させた。
韓社長は「建設業を取り巻く環境は急速に変化している。1社だけで悩みを抱え込むのではなく、地域を越えて経営者同士が学び合い、自社の経営を客観的に見つめ直すことが重要だ」と強調する。
その上で、「AIを学ぶこと自体が目的ではない。変化を前向きに受け止め、自社に合った形で経営改革を実践できるリーダーを育てたい。講座をきっかけに全国へ挑戦の輪を広げていきたい」と展望する。
建設業では就業者数の減少や経営者の高齢化、後継者不足が同時に進む。東京都市大学とクラフトバンクは、経営者同士が継続的に学び合うネットワークの構築を通じ、地域建設業の持続的な発展につなげる考えだ。
受講料は70万円(税別)。募集期間は8月20日まで。募集人数は10人程度で、個別面談を経て受講者を決定する。

