【柴田建設】ANDPAD請求管理の活用/若手が働きやすい環境を実現 | 建設通信新聞Digital

5月1日 木曜日

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【柴田建設】ANDPAD請求管理の活用/若手が働きやすい環境を実現

ANDPAD 請求管理のイメージ


 建設業界の働き方改革を実現する上で、ワンストップでさまざまな機能を活用できるアンドパッド社のクラウド型建設プロジェクト管理サービス『ANDPAD』が注目されている。最新サービスの「ANDPAD請求管理」は、請求査定業務における従来の紙の請求書処理をDX(デジタルトランスフォーメーション)することで入力の手間などを抜本的に改善し、ユーザーから高い評価を得ている。ANDPADを業務改革のプラットフォームとして活用する柴田建設のDXの取り組みを紹介する。【

◇蓄積データは他現場でも活用

米田氏(左)と星さん

 宇都宮市を拠点に公共建築やデザイン性の高い木造住宅などを手掛ける柴田建設(柴田道夫社長)。建設業の人手不足が加速する中、業務効率化、仕事と家庭の両立、女性の活躍支援などで若手が働きやすい職場環境を実現するため、クラウド型建設プロジェクト管理サービス『ANDPAD』を活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進している。本社経理をペーパーレス化する「請求管理」をはじめ、建設現場の施工管理、黒板、検査などに導入機能を拡大している。DXを推進する米田勇気営業部長と25歳以下の女性社員(U25)のまとめ役となる工事部の星七海さんに導入効果を聞いた。

–ANDPADを導入した経緯を教えてください

 米田 当社は1956年に宇都宮市で創業し、現在は公共建築や民間建築、戸建て住宅などを手掛けています。社員が働きやすい職場環境を実現するため、トップダウンのもと、設計、施工、営業など社員のさまざまな職種経験による業務の相互理解の促進、資格取得のバックアップ、女性の活躍支援などの改革に取り組んでおり、その中核としてDXを推進しています。

 私が前職で所属していたハウスメーカーでは、業務の大部分がスマートフォンで完結するなどDXが進んでいました。柴田建設に転職した時は、ほとんどの業務が紙ベースの時代で、非効率で残業が多く、社員の高齢化も進んでいました。若手の力を借りて仕事のやり方を変えなければ会社の持続的な発展は難しいと感じました。

 それには業務の電子化が不可欠のため、私が実行役となり、副社長と連携してDXを進めています。会社が初めてDXツールを導入する際、敷居が低く、社内浸透のしやすさを重視してツールを探した結果、誰もが手に取って使いやすいANDPADに決め、2023年に導入しました。

 目標は、パソコンを使わず、スマートフォンだけで業務を完結させることです。すぐには難しいため、社内で最も手書きの業務が多い本社経理でスモールスタートし、現場など会社全体に少しずつDXを広げることにしました。社員を巻き込んだ取り組みにするため、25歳以下の6人の若手女性社員を「アンダー25(U25)」と命名し、入社3年目となる工事部の星さんをリーダーにしてANDPADを活用した仕事に取り組んでもらっています。

–ANDPADに対するU25の反応は

 星 私はこれまで上司のもとで3現場を経験し、今年度から宇都宮市が発注した消防団の詰め所兼車庫の改築工事を、所長として初めて一人で担当しました。ANDPADの黒板機能や請求管理機能などを使いながら、無事に竣工させることができました。

 私を含むU25のメンバーは、子どもの頃からスマートフォンなどデジタルツールに慣れているため、ANDPADに関しても使い方を教えてもらえればすぐに理解できました。むしろ紙ベースで仕事をするよりやりやすいと感じています。例えばスマートフォンで工事写真を撮影すれば、自動でフォルダ分けされるなど写真整理の手間が大幅に省力化できます。みんなに新しい機能を教えるとぱっと覚えるため、すぐに広がりました。

 米田 私と若手は感じ方が異なるため、U25の意見を反映して現場に落とし込んでいます。チャットなどの新しい機能を私が教えてもらうことも多くなりました。

–請求管理の活用効果を教えてください

請求書の処理を電子化し、作業時間が大幅に短縮した

 米田 これまでは、本社に月末に届く現場の請求書を監督が取りに行き、一つひとつ出来高などを査定した上で再び本社に戻し、入金してもらいました。「ANDPAD請求管理」を活用すれば、協力会社が請求書をクラウドにアップロードすると監督と経理担当者がそれぞれ確認できるため、請求書を持ち運ぶ移動の手間がなくなります。早くアップロードすれば前倒しして処理することもできます。

 請求書をデジタル化することで、蓄積した情報を別の現場にフィードバックできるのもポイントです。例えば屋根や電気設備など過去の工事でかかった費用をすぐに検索できます。今まで顧客に値段を聞かれても「見積もりしないと分かりません」の一点張りでしたが、今後は「前回はこの仕様でいくらでした」と回答できるため、顧客を安心させることができます。

 一方、請求書のDXには協力会社の参加が欠かせません。番頭さんがいる大きな会社はスムーズに移行できても、対応するのが難しい職人さんも多いです。請求書は今までどおり書いてもらい、アップロードはわれわれが行うなど柔軟に対応しています。安全大会でアンドパッドの社員の方に説明してもらったこともありました。今後も新しい取り組みなどを安全大会で報告していきたいと思います。

 星 入社当初は、紙の請求書を見てExcelのデータと照らし合わせる作業を行っていました。必要な請求書やExcelデータを探し回ることが多く、毎回苦労しましたが、今はANDPADだけで請求書の処理が完結するため、作業時間が改善されています。

 私の現場では、請求書を月10枚ほど処理しましたが、大きな現場だと月20-30枚届きます。協力会社と取り決めした金額の確認などもあり、数日をかけて処理していました。今後は、取り決め額もANDPADに入力すれば、出来高を確認するだけで作業が済むようになります。

–施工ではどのように活用していますか

 米田 建設現場が高度化した結果、技術が非常に難しくなり、残業が多いイメージも強く、監督を目指す若手が少なくなりました。本来、現場の仕事は楽しいのですが、いつしか辛いものになっていました。そこをホワイト化し、現場監督として働きたいと思えるような仕組みづくりが重要となっています。

 施工では、最初にANDPADの黒板機能を導入し、それが慣れてきて半年ぐらい経ってから請求管理機能を導入しました。うまく使えているため、次は発注や見積もりに対象を広げ、DXが圧倒的に進んだ建設会社に進化したいと思います。

 今後は、検査機能を活用し、各工程で取り組む業務のチェック項目を用意する予定です。例えば準備工事では水道の確認、駐車場の有無、近隣あいさつ、書類作成などのチェック項目を用意し、それを見て若手が作業できるようにします。全ての項目を準備できたら工事部長が確認し、業務を始めます。このように業務をマニュアル化することで、若手が入社したらすぐに戦力になれる環境をつくり、仕事にやりがいを感じてもらうのが目的です。さまざまなANDPADの機能を活用し、少人数で生産性を高められるようにしていきたいと思います。

 当社は、社員の資格取得を支援するなど育成を重視しているため、そうした取り組みと合わせてDXを進めることで会社の魅力を高め、採用につなげたいと考えています。今の時代は生活と仕事の両立が重要になるため、残業がなく、休暇を確保し、選ばれる職場に転換していきたいと思います。

–今後の展望は

 星 当社の休暇の多さや残業の少なさは同世代の友人にも驚かれるほどです。入社してすぐは分からないことばかりだと思いますが、チェック項目を見れば自分の仕事を理解できるので、社員教育として有効だと思います。直近3年間に入社した社員は半分が女性のため、その人たちを支援することで魅力ある会社にしたいと思います。

 米田 これまで一人一物件に対応していましたが、DXで省力化が進み、複数の工事を同時進行できるようになりました。その分仕事は増えますが、ANDPADを活用して効率化するほか、さまざまな職種を経験した内勤者と現場の仕事を分業するなどして負担を軽減しています。受注件数も増え、黒字が続いています。

 DXで生産性が向上した結果、完全週休2日制とし、夏季休暇や年末年始休暇を含めて年間休日127日を確保します。最終的には、われわれの施工データなどを発注者と共有し、双方の業務効率化も目指したいと思います。さまざまな施策を組み合わせ、働き方改革を実現していきます。

◇請求書処理の電子化に簡単対応/1日半の業務が約1時間に短縮

 柴田建設は本社の経理業務にANDPAD請求管理を導入し、協力会社から送られてくる請求書の処理を電子化した。それまで1日半相当の時間をかけて会計システムに入力していた毎月の業務が約1時間に短縮し、抜本的な業務改革が実現した。

 これまで同社は、月末になると取り引きのある約90の協力会社から、本社の経理部門に請求書が送られていた。それらを現場別に振り分けた上で、各現場の監督が本社に取りに来ていた。監督は請求書を持ち帰り、出来高などを査定・承認して本社に再び持ってくる。本社では協力会社別に再び整理し直し、会計システムに手入力していた。

 請求書処理を電子化したことで、協力会社がアップロードした請求書は自動で振り分けられ、監督は出来高査定や承認をクラウド上で行う。査定された請求書データは一括して出力し、会計システムにワンタッチで受け渡すことができる。

 営業本部で経理を担当する岡村由紀子さんは「2人体制で会計処理を担当しているが、ANDPADは簡単に対応することができた。膨大な請求書を一枚ずつ会計システムに入力し、ダブルチェック、トリプルチェックしていたが、電子化により入力作業がなくなり、作業時間が大幅に短縮した」と力を込める。

 請求管理は始まったばかりのサービスのため、アンドパッドはユーザーの要望を積極的に取り入れている。岡村さんも気づいたことをスタッフに報告しており、「機能が常に改善されている。スマートフォンの活用などでさらに機能を進化させてほしい」と期待を込める。

 

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