【鉄筋工事をDX】ANDPAD | 建設通信新聞Digital

5月16日 木曜日

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【鉄筋工事をDX】ANDPAD

 建設業の施工管理から経営まで、幅広い情報を一元管理するクラウド型の建築・建設プロジェクト管理サービス『ANDPAD』が、鉄筋工事業で急速に広がっている。業種にこだわらずに利用できる汎用性と、管理項目などを好みの仕様にカスタマイズできる柔軟性が高く評価され、クチコミを中心に導入企業を増やしている。ものづくりの最前線を担う鉄筋工事のデジタルトランスフォーメーション(DX)に対し、どのような効果を発揮しているのか、千葉県における鉄筋工事のリーディングカンパニーである高千穂鉄筋の事例とアンドパッドへのインタビューを通じて紹介する。

◆業務変革し、選ばれる会社に
 ANDPADが鉄筋業界の生産性向上や働き方改革を支援するツールとして広がっている。導入拡大のキーマンである営業部マネージャーの山崎勇帆さんと、導入支援を担当するカスタマーサクセスの岩本寛史さんに話を聞いた。

SaaS戦略本部 カスタマーサクセス部  第三グループ       岩本 寛史さん 第二事業本部 第三部 第一グループマネージャー 山崎 勇帆さん

--ANDPADの特徴を教えてください
 山崎 ANDPADは、現場の効率化から経営改善まで一元管理できるシェアNo.1クラウド型建設プロジェクト管理サービスです。2016年に提供開始し、利用社数15.6万社、41.3万人以上の建設・建築関係者の皆さまにご活用いただいています。
 20年ごろよりゼネコンや専門工事事業者の方からも問い合わせが多くなり、お客さまの課題感に合わせ、機能開発を行ってきております。外部のアプリとも連携が可能で、業種・課題に合わせてご利用いただくことができます。

 岩本 企業の特性に合わせて機能をカスタマイズし、うまく運用することが大切です。いざ取り組むときに頼れる人がいないなどで導入がスムーズに行かないことも多く、当社ではユーザーさまへの支援に力を入れ、社員がしっかり対応しています。

--鉄筋の施工管理ではどのように使われていますか
 岩本 資料や図面などを共有する「資料」、工事写真を撮影・管理できる「写真」、電子小黒板を利用できる「黒板」、日報や勤怠をデジタル化する「報告」、「チャット」などの機能が利用されています。現場に関わる全てのデータを一カ所にまとめて管理し、社内・協力会社を含めてリアルタイムに情報共有できるのが特徴です。

 山崎 まず報告機能やチャット機能を使用し、毎日のコミュニケーションでANDPADに慣れ、次の活用展開につなげていきます。特に現場ではチャット機能が好評で、電話を受ける回数が減ることで作業中断が減り作業効率も上がります。会話履歴を検索し、必要な情報をすぐに探すこともできます。

--情報プラットフォームを持つメリットは
 山崎 専門工事業が独自にプラットフォームを持つことで、ほしい情報にすぐアクセスし、社内や協力会社の連携が効率化します。

 岩本 具体例として、次工程で作業する人と資料などを早めに共有し、質の高い準備ができ、ミスや手戻りが減ります。アプリの機能を自分たちの業務に上手に組み込むことで結果的に費用対効果が出てきます。

 山崎 熟練技能者が減少し、技能やノウハウを残したいという要望も高まっています。熟練の技能は重要な資産であり、技能の再現性を高め、施工力を維持することが企業の存続に不可欠です。報告や写真履歴から情報を拾い出し、業務の振り返りに活用するなどノウハウの蓄積に取り組む企業が増えており、それをできるのがANDPADの強みの一つになっています。

--実務での活用法は
 岩本 自主検査のエビデンスを残すツールとして電子小黒板が利用されています。例えば手違いを直す際、是正前と後を電子小黒板で記録します。写真だけだと、どこで撮影したのか分かりにくくなりがちですが、電子小黒板を活用するとひと目で分かり、指示しやすくなります。工事写真という証拠をベースにしたコミュニケーションが可能です。

 山崎 電子小黒板や報告書のデジタル化により自主検査のリポートが素早くきれいにまとまるため、品質管理の取り組みが元請けに伝わり、評価が高まることもあるそうです。ソフト面で差別化を図る考え方が広まりつつあります。「選ばれる会社」になるためには、という観点で、日々の業務の変革を行う経営者も増えている印象です。

 岩本 その意味で日報や勤怠に使える報告機能の評価も高いです。どの現場で誰が何時間働いたか把握し、原価管理を効率化します。出先からスマートフォンで打ち込むこともでき、集計作業も半日で終わるため、現場と事務が効果を実感できます。

--今後の展開は
 山崎 鉄筋業界は横のつながりが強く、ありがたいことにクチコミでご紹介いただいています。ユーザー会を立ち上げるケースもあり、より鉄筋業に合わせた使い方が検討されると思います。現場に根ざした機能を開発していきたいと思います。

 岩本 鉄筋業の仕事の理解を深めることで、いまある機能を効果的に活用できる使い方をご提案し、生産性向上のお役に立てるようにしたいと思います。

ホーム画面

2つのサポート部門が運用を支援

 クラウド型建設プロジェクト管理サービス『ANDPAD』の特徴の一つに充実したサポートサービスがある。「カスタマーサクセス」「カスタマーサポート」の二つのサポート部門を組織し、ANDPADを円滑に運用できるよう強力に支援している。
 カスタマーサクセスのスタッフは、顧客の運用支援の責任者として、ANDPADの活用に能動的に関与していく。導入目的や運用上の課題、社員や協力会社の状況などを総合的に分析することで、どの機能を誰から導入し、どのような手順で展開するかを共に組み立てるのが最大の特徴だ。顧客と伴走しながらコンセプトの実現を図る。
 一方、アプリの機能や使い方などの問い合わせに関しては、カスタマーサポートが電話やメール、チャットで対応する。「ログインができない」といった相談に始まり、顧客の業務課題解決に向けて専門スタッフが支援していく。
 顧客の意見や要望に対応しながらニーズの最大公約数を把握し、最も必要性の高い機能を開発するサイクルを構築することで、サービス向上につなげている。
 同社のコーポレートメッセージ「幸せを築く人を、幸せに。」を実現するため、売って終わりではなく顧客のDXをスムーズに実現する「コンサルタント」の役割をカスタマーサクセスが担い、開発の要望なども把握しながら、顧客の目標達成を継続してサポートしていく。

◆総務と施工のDXを推進/鉄筋工事に適した活用法探る/ユーザー会「ANDFIRE」設立
 ワンランク上の仕事を目指す“火の玉集団”として千葉県を拠点に50年の歴史を持つ高千穂鉄筋(白井市)は、ANDPADを情報共有プラットフォームに活用し、総務と施工のデジタルトランスフォーメーション(DX)の成果を出している。経営革新をけん引する樋脇毅代表取締役、城戸口高広工事部長、佐藤司総務部課長に、DXによる鉄筋工事の将来ビジョンを聞いた。

左から城戸口部長、樋脇代表取締役、佐藤課長


--ANDPAD導入の経緯を教えてください
 樋脇 当社は、建設現場で使用する図面のデジタル化や資料の共有、協力会社との連携強化による生産性向上を目的に、情報共有ツールの導入を検討していました。複数の施工管理アプリの検討を進める中、ANDPADのヒアリングに総務のDXを推進する佐藤課長が同席し、当社の勤怠管理にも合うことが分かりました。業務内容に合わせて入力項目などを自由にカスタマイズできる汎用性が決め手となり、ANDPADを導入することにしました。

◆汎用性が導入の決め手
 佐藤 1年近く勤怠管理に特化した製品を比較検討していたのですが、出勤、休憩、退勤など限られた操作しかできないものが多く、どれも決め手に欠けました。選定を諦めかけたときに、出退勤、休憩、残業時間の管理、皆勤、現場、運転などの諸手当、交通費、運転前のアルコールチェックなど当社の勤怠項目を一括して管理できるANDPADに出会いました。
 勤怠を紙で管理していた時は、月末にまとめて書くため間違いの元となっていましたが、ANDPADに全面的に切り替えてからは、スマートフォンで毎日入力してもらい、忘れている人にはチャットで催促することで新しい習慣が根付きました。勤務時間や給与・手当の集計作業も自動化したことで、業務時間が大幅に短縮し、ミスも改善されました。3人体制で行ってきた業務を2人にするなど成果を出しています。

--施工ではどのように活用していますか
 樋脇 総務のDXを追いかける形で施工でも導入を進め、現場の自主検査を中心に利用しています。現場ごとにフォルダをつくり、そこに全てのデータを保管することで、関係者はスマートフォンを通じて見ることができ、ペーパレス化が進んでいます。

◆自主検査で情報共有

自主検査の効率化に効果を発揮

 城戸口 自主検査は一次下請けである当社の責任において行うもので、協力会社は検査終了後に当社の自主検査担当職員に連絡し、間違いなく実施されたことを確認した上で元請けに報告書を提出します。その協力会社とのやりとりをANDPADで行っています。ANDPADにデータを一元化してやりとりするため、みんなが最新の情報を共有でき、連携がスムーズになりました。

--協力会社にDXを普及させるポイントは
 城戸口 職人の中にはアプリを使うことに対して苦手意識があったり、面倒に思う人もいます。彼らが簡単に使えるようになるには、どうしたらいいかを考えながら運用しています。そのような背景もあり、総務に比べて浸透が遅れる面もあります。




鉄筋工事の情報共有を可能にする

◆使う側を主体に導入誘導
 樋脇 当社は多いときで約80人の職人が稼働します。当社と協力会社の代替わりはうまく進んでおり、ほとんどの職人はスマートフォンを使うなどITリテラシーは高まっていますが、それでも最初は「分からない」という声が寄せられます。使う側を主体にして考えないと導入は進まないため、最初はハードルを低く設定し、徐々に引き上げるなどコントロールしながら新しいツールを使うように誘導することが大切です。
 現在はオプション機能の電子小黒板(ANDPAD黒板)を追加導入しました。例えば施工したところを直す必要があるときに、是正前と是正後の状態を電子小黒板付きのカメラで撮影すると、工事の状態がひと目で分かります。協力会社に使ってもらうため、さまざまな電子小黒板のフォーマットやデータをこちらが作成しておき、現場では数値を入れればすぐに使えるようにするなど、丁寧な対応を心がけています。

--今後の鉄筋工事の目指すべきビジョンは
 樋脇 ANDPADを活用したシステムが回り始め、他社に事例を発表できるようになりました。全国の鉄筋工事業の若手経営者とユーザー会「ANDFIRE(アンドファイヤー)」を立ち上げ、LINEやzoomで頻繁に情報交換しています。十数社が参加し、お互いどのようにカスタマイズして使用しているか情報共有して自社での活用をブラッシュアップし、より適した使い方にしています。鉄筋工事にマッチしたDXを進めるための一歩を踏み出しました。

◆鉄筋工事で広がるANDPAD
 一方、建設業界の人手不足が深刻化し、一人でも多くの人に興味を持ってもらうことが大切です。建設業を取り巻く環境や仕事内容も大きく変化しており、今後は元請けの仕事の一部を専門工事業にアウトソーシングするようになることも視野に入れなくてはなりません。新しい時代に対応するには、ものづくりを担う職人に加え、施工を管理できる人材も必要です。そのためにも常にアンテナを高く張り、ANDPADなどを活用したDXを進め、時代の要望に応えていきたいと思います。





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