【東京初の建設DX展 12月6日から東京ビッグサイトで開催】自らの手で建設DX実現する機会に/RX Japan | 建設通信新聞Digital

4月28日 日曜日

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【東京初の建設DX展 12月6日から東京ビッグサイトで開催】自らの手で建設DX実現する機会に/RX Japan

 RX Japan(旧名=リードエグジビションジャパン、東京都新宿区、田中岳志社長)は、DX(デジタルトランスフォーメーション)の専門展示会「第1回【東京】建設DX展」を12月6-8の3日間、東京都江東区の東京ビッグサイトで開催する。建築先端技術展「ジャパンビルド2021」内で開催し、BIM・CAD・AI(人工知能)、建設ロボット・ICT建機など約2100の製品、サービスを展示する。出展社であり、アドバイザリー委員、特別講演の講師を務める竹中工務店の村上陸太常務執行役員技術本部長とRX Japanの土屋勝利執行役員(建設DX展事務局長)が、建設DXの動向や展示会の見どころについて話し合った。

◆関西展で過去最大の出展社数、来場者数を記録
--第1回目となる大阪展を振り返って
 土屋 建設業界には人手不足の解決という大きなテーマがあり、毎年のように建設ロボットやデジタル技術が進化しています。われわれはこれまで「ジャパンビルド」を開催してきましたが、建設DXの進展を踏まえ、建築の未来が見える新たな先端技術展をつくりたいと考えていました。出展社や来場者にリサーチすると、建設DXに関するセミナーを聞きたい、展示としても見たいという期待が大きいことが分かり、満を持して建設DX展を大阪と東京で開催することにいたしました。
先行して9月に開催した大阪展では、コロナ禍の状況もありましたが、建設DX展を目的に予想を上回る来場者が入り、ジャパンビルド全体としても過去最多の出展社数、来場者数を記録しました。展示会やイベントが自粛ムードにある中でコロナ前より大きな規模で開催できたのは、建設業界がDXを強く求めているからだと実感しました。

◆デジタル化からトランスフォーメーションへ

竹中工務店常務執行役員技術本部長(アドバイザリー委員)村上陸太氏

--建設業界のDXの現状は
 村上 私が「建設DX」という言葉を前面に出せるようになったのはことしからです。“DX”と言うからには建設生産の仕組みを革新しなければなりませんが、 これまで建設業が取り組んできたDXは現場の“デジタル化”にとどまっており、建設ロボットも本当の意味での実用化にはほど遠い状況で、革新という段階には達していませんでした。最近、建設DXが、それまでの単なるデジタル化から、生産を革新する技術に変化してきました。それにはコロナ禍の影響が大きかったといえると思います。
例えば、遠隔検査は「現地・現物・現時」で管理する建設現場になじまないという意見がありましたが、コロナ対策のためにやってみると意外とできることが分かり、それなら検査手法・システムも変え、もっと効率化しようという流れになってきました。“デジタル化”がだんだん“デジタルトランスフォーメーション”に変化してきたのです。作業所の業務も革新につながる次のステップに進もうとしており、今回の展示会で一歩前進した技術を見ることができると思います。

◆DXで現場教育が着実に前進
--実際に現場ではどのような変化が起きていますか
 村上 例えば、所長が1日1回行っている現場巡回を、遠隔検査技術の採用により複数回できるようになります。そのデジタルデータを記録し動画にすれば教育に応用できます。若い人がウェアラブルカメラをつけて現場を映し、所長の指示を受けながら配筋検査の技術を学ぶなど、教育面はDXのおかげで随分進んだと思います。
ただ、技術系の仕事量は事務処理のように、デジタル化により劇的に変化するとは言い切れません。確かに便利な道具が増え設計や施工の効率化が画期的に進みましたが、技術が発達したことで、逆にいろいろできることが増え、技術職の工数を増やしてしまうという面もあります。
例えば、設計のシミュレーションは、いままで4ケースだったものが、同じ時間で10ケースできるようになると、じゃあもっと違うケースも、というように寝食を忘れて働いてしまうこともあります。ものづくりに関わるスタッフは、業務を効率化できる道具ができると、時間が許す限り働いてしまう傾向があります。だからといって昔に戻すわけにはいきません。デジタル新技術を開発・導入し続ける一方で、どこかで仕事の取り組み方・やり方を抜本的に見直す時が必要であると考えています。

◆新技術の使い方を自ら考える場に
--展示会ではどのようにブースを見てもらいたいですか
 村上 われわれのつくったものを皆さまも使ってください、という展示にするつもりはありません。竹中工務店ではこういう課題を持っていて、それをどのように解決しようとしているかという姿勢を見てほしいと思います。デジタル技術はドラえもんの道具のようなもので、自分たちがどう使うか考えることが大切です。「竹中工務店はこういう使い方・解決手法だったが、この技術ならこんな風な考え方もできる」と新しいアイデアを出してほしいと思います。
また、建設業以外の人にも見てもらい、「こんな簡単なことを悩んでいたのか。すぐに解決できそうだな」というような意見をほしいと思っています。建設DX展に集まるいろいろな職種の人と仲間になり、意見交換することが重要です。特にコロナ禍になってから物見遊山で展示会に来る人は少なくなりました。本展示会の参加者も明確な目的を持ち、真剣な気持ちで参加する人ばかりだと思います。

◆異業種連携によるイノベーション

RX Japan執行役員(建設DX展事務局長) 土屋勝利氏

--多くの人が参加するため、偶然の出会いがもたらすイノベーションも期待できます
 土屋 展示会に参加する大きな理由は、期待を超える出会いや驚き、わくわく感だと思います。われわれは建設業ではなく、あくまで展示会業のプロです。その中でITやロボットなどさまざまな展示会を開いてきました。そうした異業種と建設業を結びつけ、新しいイノベーションを起こす場をつくるのが、第三者である主催者の役割だと思います。それを面白いと思う人もいれば反対の人もいると思いますが、コロナ禍の状況下でものごとを動かすにはイノベーションの力が重要です。
 村上 技術開発責任者として各社の責任者が集まる会合によく出席しますが、その場では「連携して新しいことをしないといけないね」という会話は生まれますが、実際の革新技術の開発・イノベーションまでなかなか至りません。そこに違う考え方やアプローチのできる人が入ることが重要です。展示会には若い人も多くいらっしゃるし、スタートアップのようなまったく違う業種や出展社の方もおられます。イノベーションを起こすには同じようなレベルの人で集まるのでなく、“ごった煮”の感じが良いと考えています。

 土屋 展示会には知っていても来る人と来ない人がいます。統計があるわけではないですが、よく展示会に来る方はポジティブな人が多い印象です。自分から出向き、導入し、何かを変えようという気概を持ったビジネスマンが多いと感じます。ポジティブな人同士が出会うと何かが生まれます。

 

◆建物をつくるDXと、生活を豊かにするDX
--展示会のもう1つの魅力はセミナーです。どのような話をする予定でしょうか
 村上 私は、建築DXは大きく2つあると考えています。1つが建築をつくるためのDX、もう1つが建築(=人の生活空間)を使うためのDXです。この2つを実現するには、われわれだけでなく、オープンイノベーションで異業種やスタートアップなどのさまざまな技術をつなぐことが必要です。大手ゼネコン16社が立ち上げた「建設RXコンソーシアム」も大きな意味でオープンイノベーションだと考えています。
これまでも個々の会社が開発した技術はレンタル会社を通じて公開しているので連携しなくても使うことはできたのですが、技術者は他社技術をそのまま使うのはやはり抵抗がありました。今回の連携では建設業界全体で協力して技術開発や相互利用をすることにより建設業の魅力アップと生産性向上に挑戦することをトップダウンで宣言したものです。建設DXに取り組もうとしているICT企業やスタートアップも建設RXコンソーシアムを対象とすれば大きな市場を目指した開発が可能になります。
 土屋 建設DX展を立ち上げるに当たり、村上本部長に相談させてもらう中で忘れられないのが、「次世代技術はいろいろあるが事務業務や工場生産業務は自分たちがやらなくてもICT企業が開発してくれる。しかし建設現場を対象とした建設DXだけは自分たちで旗を振らないと変わらない」という言葉です。
 村上 私が入社してから40年という長い間、建設業の生産性は大きく変わりませんでした。いま建設業自らが建設DXに取り組まなければ、いつまでも変わらないでしょう。本展示会に参加される方々に、いろいろ提案してほしいと思いますし、一緒に建設DXに取り組んでいきたいという気持ちになってほしいと思います。

◆一人ひとりの感染症対策を徹底
--感染症対策の取り組みは
 土屋 感染者数が減ってきたとはいえ、徹底してコロナ対策に取り組みたいと思います。当社はコロナ禍でも約200本の展示会を開催して培ったノウハウがあります。
検温、消毒、マスクの着用は当たり前に実施してもらいますが、消毒液の設置場所すべてに係員を置き、一人ひとり止めてプッシュしてもらうなど徹底的に取り組んでいます。だから1日会場にいると15回から20回ぐらい消毒しなければなりません。会場内の人数も常にセンサーで把握し、安心して来場できるようにしたいと思います。

◆建設業の仕事をデジタルで魅力的に
--来場者にメッセージをお願いします
 土屋 さまざまな技術が展示されるため、現場の改善に役立つと思います。講演会でも村上本部長を始め、スーパーゼネコン5社がそろいます。隈研吾さんの講演もあり、来場いただくことでいろいろな情報を得られると思います。ぜひテーマを持って来場してほしいと思います。
 村上 建築は施主、設計者、ゼネコン、職人、材料、物流業、建物のユーザーなどみんなが協力してはじめて成り立ちます。だからこそ仕事が楽しいのだと思います。やりがいのある仕事をデジタルの力でもっと魅力的にし、多くの人にかかわってほしいと思います。展示会に来た人に建築のおもしろさを感じてもらうとともに、建設業にいる人が自分たちの仕事の魅力を再認識できる展示会になることを期待しています。

大阪で開いた第1回建設DX展。最先端の建設技術に触れようと、多くの参加者が訪れた

来場者が必要なソリューションについての相談や商談を行うなど、マッチングの場となった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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