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4月28日 日曜日

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【建設RXコンソーシアムが特別講演】RX Japan主催の建設DX展[東京]で13日(水)に開催

◇ゼネコン(竹中工務店、清水建設、鹿島)、スタートアップ(燈、建ロボテック、ホロラボ)が初の公開討論/RX Japan主催の建設DX展[東京]で13日(水)に開催

建設RXコンソーシアム会長 竹中工務店常務執行役員技術・デジタル統括技術開発・研究開発・構造設計担当 村上陸太氏

 RX Japan(東京都中央区、田中岳志社長)は12月13日(水)から15日(金)の3日間、第3回建設DX展[東京]を東京都江東区の東京ビッグサイトで開催する。建築・建設・不動産など関連8展を同時開催する「JAPANBUILD(ジャパンビルド)2023-建築の先端技術展-」内で、BIM、CIM、CAD、ICT建機、建設ロボットなどのDX(デジタルトランスフォーメーション)技術を展示する。出展社数は、ジャパンビルド全体で過去最多の約510社となる。建設DX展の特別講演では、スーパーゼネコン5社など日本を代表するゼネコン29社とIoTやロボティクスの開発を進める協力会員約207社が参加する建設RXコンソーシアムがパネルディスカッションを行い、ゼネコンとスタートアップの代表がWell Beingをテーマに公開討論する。6月に新会長に就任した村上陸太建設RXコンソーシアム会長(竹中工務店常務執行役員)に特別講演のポイントや建設DXの今後を展望してもらった。

■「建設業を変える団体」へとステップアップ

 –現在の活動状況を教えてください

 今年6月に大手ゼネコン5社がそろい、技術開発を推進している多くのゼネコンが参加するコンソーシアムとなりました。その結果、各方面での活動に理解を得やすくなり、メリットを感じています。日本建設業連合会などとも連携し、今までの「技術開発をしたい」という思いだけでなく、実際に「建設業を変える」団体へとステップアップした感じがします。

 ゼネコン側の動きに合わせ、ベンダーやスタートアップなどの協力会員も急速に増えています。大手5社を含むゼネコンの開発担当者が集う場で技術や製品をプレゼンテーションし、建設業界で広く使える技術を開発することになれば、それが大きなモチベーションとなります。われわれとしてもゼネコン各社の意見を反映した技術開発が進むため、大きな効果が期待できます。

■良い技術を共有し、生産性向上へ

 –具体的なメリットは

 そもそも建設RXコンソーシアムは、民間企業が集結し、建設現場の生産性を向上させる“道具”を開発するのが目的です。その道具を使うのはゼネコンではなくサブコン・専門工事会社です。そのため、ゼネコン各社が個別に開発した仕様が異なる道具を使い分けるよりも、われわれが集まって開発した共通の道具を使ってもらう方が効率的です。

 建設業は現地一品生産のため、同じものは一つとしてありません。良い道具があるならば共有し、生産性を向上させるべきだと思います。きつい、汚い、危険の3Kを脱却し、休暇、給与、希望、かっこ良いの新4Kへの移行を進め、素晴らしい建物を建設し、建設業界の魅力を高めることが重要です。

 最近では、ロボットやBIM、ICT関連の企業だけでなく、保険や商社、物流などが加わり、協力会員の業種が広がっています。例えば物流では、複数のゼネコンの現場を一つのシステムで管理できるソフトをつくれば配送が効率化されます。そうしたメリットを求めて、コンソーシアムに参加する企業が増えています。

 コンソーシアムの活動が十分に認知されれば、例えば夏の暑さ対策について職長が現場監督に「コンソーシアムが暑さ対策の技術を紹介しているがこの現場はやらないの?他では入れているよ」と会話でき、DXが進む土壌が広がることも期待できます。

■一般の人に建築の魅力を発信

 –今年の活動の目標は

 もっと一般の人に建築・ものづくりの魅力を発信できるようにしたいと思います。建設業が3Kを脱却するために頑張っているのは世の中も知っていると思いますが、もう昔のように重いものを持つことはなく、ロボティクスで代替する作業が増えていることを上手に伝える必要があります。例えば現場を子どもに公開し、昔ながらの仕事と、ロボットが作業する様子を比較するのもおもしろいでしょう。そういう風に情報発信し、一般の人、特に子どもたちに面白いと思わせたいですね。

 ゼネコンの仕事は、大変な業務が多いですが、最終的に建物が完成した時の喜びや達成感は本当に大きいと思います。それは、ゼネコンでは、技術開発部門は技術を具現化し、現場は一生懸命作り、設計、営業などたくさんの部署が関係するためで、完成した建物が使われるところを見ると本当に喜びは大きいです。

■スタートアップと初のパネルディスカッション

 –特別講演の内容は

 ゼネコンを代表して私と山崎明清水建設専務執行役員(建設RXコンソーシアム副会長)、池上隆三鹿島常務執行役員(同)の3人と、スタートアップからは、野呂侑希燈CEO、眞部達也建ロボテックCEO、中村薫ホロラボCEOの計6人が「建設業のミライ展望~Well Being実現に向けた建設RXコンソーシアムの取組み~」をテーマに公開パネルディスカッションを行います。スーパーゼネコンのDX担当役員とスタートアップの経営者がパネルディスカッションする初の試みです。

 スタートアップの皆さん方は、現場の景色を変えるだけなく、建設業を根本から変えるぐらいの気持ちで取り組んでいます。われわれもデジタル技術をもっと勉強しないといけないし、彼らも建設業のビジネスをより深く理解すべきところがあると思いますが、建設業界をよくしたいという思いは同じです。

 3Kをなくし、楽しく仕事するには現場のWell Beingが重要です。特にゼネコンとスタートアップが世代を超えて考えることでWell Beingのギャップをあぶり出し、われわれが何をすべきか、特にシニア世代が若い世代に何を残さないといけないかを考えたいと思います。

 スタートアップ企業の多くは、実際に現場の仕事や苦労を経験したわけではないと思いますが、われわれの建設現場を変えたいと考えてくれています。傍らで見ているだけで現場のきつさが伝わり、IoTやロボットを活用した改善点が浮かぶのでしょう。そもそもわれわれがなぜ建設DX展特別講演に参加することを考えたのかというと、他業種の人に建設業の課題を見てもらい、「こんなことをしていたのですか。うちならこう解決できますよ」と提示してくれる企業に出会いたいからです。

昨年のパネルディスカッションの風景。建設RXコンソーシアムの取り組みを聞こうと多くの人が詰めかけた


 今回のパネルディスカッションは、従来の建設業界にない新しい視点の提案がたくさん出ると思います。例えば設計図は設計者の意図を伝える道具ですが、その目的を達成するための新たな手法があるかもしれません。異業種から見て、無駄と思う作業が現場にたくさんあるかもしれません。われわれも「今までの作業はなんだったのか」と思うかもしれず、どのような議論になるか今から楽しみです。

■DXに合わせた新たな教育が必要

 –先端技術導入のポイントは

 AIを使えば、われわれが数十年にわたり貯めてきたデータを解析し、瞬時に答えを得られるかもしれません。いろいろな技術を組み合わせ、若手が熟練所長や職長並みの能力を得られる可能性もあるでしょう。一方、データに依存し、下積み時代のいろいろな経験がショートカットされるため、将来にわたり現場の品質を確保するために新たな教育が必要です。

 以前のゼネコンはたくさんの社員に集団教育し、下積みなどをする中で仕事ができる人が上に行くシステムでした。多様な知識や経験を持つ技術者がたくさんいるため、彼らの暗黙知の中に現場のさまざまな課題の解決策があり、AIやロボットがなくても品質を保つことができました。しかし、今後はそうもいきません。ロボットやAIを導入することで省人化と生産性向上を進める必要があります。

 例えば左官職人も水やセメント、砂を運ぶロボットができ、それを使えば見習いがいらなくなるかもしれません。建設業では今後、下積み期間が少ない人材を効果的に育成する必要があり、DXの時代に合わせた教育が必要になると思います。

■自分なりの見方を持って聴講を

 –聴講者にはどのように議論を聞いてほしいですか

 われわれ建設業界のベテランとスタートアップの経営者が意見交換する中で「自分だったらこう考える」という意見が自然に湧き上がると思います。そうした自分なりの見方を持ってもらうとおもしろいと思います。

 極端な意見が出たとき、われわれベテラン3人は責任ある立場でもあるため、そんなことを言っても会社を説得することができるかどうかといった、現実的な発想が先に来るかもしれません。一方で極端だからこそ経営者に聞いてほしいという思いもあります。そんなとき、自分ならどうするかを一緒に考えてほしいと思います。

 現場監督だけでなく、研究開発部門の人にもぜひ聞いてほしいです。われわれゼネコンが考えていることや、協力会員がどのような技術を開発しているかを知ることで刺激を得られるでしょう。

■建設業自身がDXの今後を考える

 –今後の展望は

 海外も建設RXコンソーシアムの取り組みに注目しています。先日、シンガポールHDB(Housing Development Board)の方々がコンソーシアムを視察しました。シンガポールも労働力が不足し、ロボット化や自動化を推進する機運が高まっています。ゼネコンが一致団結してロボットの開発や普及に取り組む活動は世界的に珍しいため、関心をもったのだと思います。

 コンソーシアムを結成した理由の一つに、われわれゼネコンが自ら建設業のDXを進めなければ、例えばGAFAのような新興企業によってわれわれが駆逐され、魅力に欠ける仕事だけしかゼネコンに残らないようになるのではないかという危機感がありました。

 DXを進めてどのような利益を得るかは、やはり建設業自身が考えなければならない問題だと思います。建物をつくる喜びを未来に残したいという思いも決定的に違うところです。儲けだけを考えたら、建物の形状や仕様を全部同じにして手早く建設し現場から撤収すればいいですが、われわれはそうはいきません。少しでも良い建物にするため、「この建物では柱を抜いてロングスパンで梁を飛ばし、空間を大きく使った方が良いですよ」と、わざわざ金や手間、時間、リスクが伴うことを提案して建物の総合的な品質を高めようとします。

 また、日本の職人は非常にレベルが高く、職長には賢い人が多いので、計画や図面を少し見るだけで、施工の可否を判断し、より良くするための代案を出してくれます。そうしたことを踏まえて、日本流のDXをどう実現するかを考えることが、今後の活動で重要なテーマになります。

◇第3回 建設DX展[東京] 東京ビッグサイトで12月13日(水)-15日(金)に開催

 RX Japanは12月13日(水)から15日(金)の3日間、東京都江東区の東京ビッグサイトで第3回建設DX展[東京]を開く。建築・建設・不動産など関連8展が同時開催する日本最大級の建設総合展示会「第8回JAPANBUILDTOKYO-建築の先端技術展-」内で開催し、建設生産プロセスのさまざまな場面で活用するDXの最先端の技術や製品を出展する。

 今回、ジャパンビルド全体として過去最多の約510社が出展し、多様な出展内容による相乗効果を見込む。建設DX展の特別講演では、建設RXコンソーシアムに所属する大手ゼネコン3社とスタートアップ3社が新旧世代を代表してパネルディスカッションする。

 また、展示会場への入場に当たり、事前の来場登録と入場用バッジの印刷が必須となる。

 問い合わせは、ジャパンビルド事務局・電話03-3349-0596。

*出展者数は同時開催展を含む最終見込み数字
*同種の展示会との出展社数、製品展示面積の比較

 

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