【18年7月豪雨】砂防の先進地から知見や技術力で被災地支援 北陸地整TEC-FORCE | 建設通信新聞Digital

4月27日 土曜日

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【18年7月豪雨】砂防の先進地から知見や技術力で被災地支援 北陸地整TEC-FORCE

 2018年7月豪雨の影響で西日本を中心に甚大な被害が出ている中、他の地方整備局などとともに、砂防、道路の被災状況調査、排水作業を通じ、北陸地方整備局のTEC-FORCE(緊急災害対策派遣隊)が被災地を支援している。特に土砂災害の多発に伴って、砂防の先進地としての知見や技術力に対する期待は大きいようだ。
 北陸整備局は発災直後の7日に先遣班(実作業開始後に総合指令班に移行)を中国整備局に派遣。土砂災害に関する数多くのTEC-FORCE活動の経験を持つ企画部の山本悟技術開発調整官は班長として現地に入り、「被害の大きさだけでなく、広さからも(今回の豪雨の)特殊性を実感した」という。

広島市安芸区矢野町で活動する砂防班(提供・北陸整備局)

 その言葉どおり、中国整備局管内の各地で浸水、道路の通行止め、土砂災害が広域的に発生しており、「刻々と変わっていく状況に合わせて情報を整理し、現状を逐次把握することが大前提だった」と振り返る。
 被災個所が徐々に判明するにつれ、現場の調査作業に移っていったが、北陸整備局が手掛けてきた砂防事業、土砂災害対応の実績を踏まえ、広島県内(広島市安芸区、安佐北区、東区、東広島市の一部、呉市、坂町の全域)の被災状況調査(砂防)の大半を同局TEC-FORCEの砂防班が担当した(現在も調査継続中)。
 一方、道路班も砂防班と同様に、広島市に近接する呉市と坂町で、被災状況調査(道路)に着手。同局TEC-FORCEの第1陣として、9日から被災地で調査作業を始めた道路部の舘敏幸道路保全企画官(道路班1班長)は「(調査対象地域だった)呉市川尻地区には巨大な岩や土砂が残っており、災害の甚大さを痛感した」と話す。

呉市才野谷で被災状況を 調査する道路班(提供・北陸整備局)

 土地勘の乏しさに加え、目印となるような施設も流されていたものの、地域の情報が書き込まれた住宅地図(当該自治体が作成)は調査を実施する上で大きな助けとなった。また、捜索区域を考慮し、範囲を絞りながら調査を進める一方で、地域住民から「この道がないと生活が困る。早く直してほしい」との思いを告げられ、社会インフラの重要性を改めて認識したという。
 調査結果をまとめ、職責を全うした両班は約1週間の活動を終え、13日に帰還した。山本、舘班長とも国土交通省の使命を果たしていく上で「今回の経験を(次の世代に)継承していかなければならない」と口をそろえる。

■新潟県内協定企業が24時間態勢で排水

倉敷市真備町で活動する 緊急排水班(提供・北陸整備局)


 岡山県倉敷市真備町では、応急対策班が排水ポンプ車4台と照明車2台を使って、8-12日まで小田川左岸と高梁川右岸で排水作業を実施した。同局の職員6人のほか、北陸整備局北陸技術事務所と災害協定を結んでいる新潟県内の建設企業5社(新潟藤田組、福田組、加賀田組、岡田土建工業、大島組)から計24人を派遣。一刻を争う状況だっただけに、官民一体となって24時間態勢で尽力した。

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