【三方良し研新潟】事例発表だけでなく三者が本音トークで課題解決を 研修会で打開策探る | 建設通信新聞Digital

4月29日 月曜日

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【三方良し研新潟】事例発表だけでなく三者が本音トークで課題解決を 研修会で打開策探る

 三方良しの公共事業推進研究会新潟支部(小野貴史支部長)の2018年度研修会が7日、新潟市のANAクラウンプラザホテルで開かれた。改正品確法(公共工事品質確保促進法)に基づく発注政策の進展や担い手問題の浮上などに伴い、「三方良し」の活動も見直しを迫られているとの問題意識から、これまでの事例発表を主とした研修ではなく、参加した行政、企業の担当者がワークショップ方式で三方良しを巡る足元の課題を抽出し、打開策を協働して探った。
 小野支部長は冒頭、「建設業における時間外労働の上限規制や週休2日導入などの働き方改革は、これまでのように現場の頑張りだけで吸収できるようなレベルのものではない。三方良しの肝は、時間をうまく使うことによって生産性を上げることにあったはずだ。最近の受発注者関係を巡る環境変化を踏まえ、今回は趣向も変えて三方良しのあり方を見つめ直したい」と開催趣旨を述べた。
 研修会には支部会員である地域建設業の現場担当者など約30人、北陸地方整備局と新潟県土木部の出先機関担当者ら約30人、合わせて約60人が参加。人財育成コンサルタントでジョイワークス社長の吉田裕美子氏をファシリテーターに招き、8グループに分かれてワークショップを行った。
 最初に各グループとも何回かのワーキングを通じ、一定の課題について話し合う場合、多様で本音の意見交換ができる関係が整っていれば良い成果が生み出されることを確認した。その上で「三方良し」の状態が成立するとはどういうことかを、住民、行政、企業の三方それぞれの立場から考えた。その結果、現実問題として三方すべてが最良の状態というのは成立しにくく、常にバランスをとり続けていく作業こそが大事であるとの認識で一致した。
 常に話し合える関係を作っていくことが重要であり、そのためには三者が一堂に会して本音で互いにコミュニケーションをとれる場を確保し、課題や目標を共有していくことが必要だとの意見が相次いだ。地元説明会など従来から行われている会合や集会も、そうした視点から柔軟に見直していくべきとの指摘もあった。吉田氏は「きょうのワーキングで出てきた案をもとにアクションを起こしてほしい」と呼び掛けた。
 現場を巡る問題の最適解は机上の理論ではなく、三者間の具体的な話し合いの中からしか見えてこないことを文字通りワーキングの中でつかみ取る、三方良しの原点を確認する研修となった。

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